2007 Fiscal Year Annual Research Report
ユビキチン-プロテアソーム系を標的とするシヌクレイン封入体の形成・分解機構の解明
Project/Area Number |
18500275
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
若林 孝一 Hirosaki University, 大学院・医学研究科, 教授 (50240768)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丹治 邦和 弘前大学, 大学院・医学研究科, 助教 (10271800)
冨山 誠彦 弘前大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (40311542)
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Keywords | αシヌクレイン / パーキンソン病 / 多系統萎縮症 / レビー小体 / NUBI / シヌクレイノパチー |
Research Abstract |
本年度は以下の3つの研究を実施し、以下の成果を得た。 1)タンパク質変性ストレスに対する防御機構に関与している新規蛋白(NUB1)のヒト脳内における局在について検討した。種々の神経変性疾患を含む43剖検例にっいて検討した結果、神経変性疾患では神経細胞やグリア細胞に種々の封入体(タンパク質凝集体)が認められるが、NUB1はシヌクレイノパチー(パーキンソン病、レビー小体型認知症、多系統萎縮症)に出現する封入体に特異的に発現していることを明らかにした。 2)パーキンソン病(PD)10例、発症前のパーキンソン病と考えられるIncidental Lewy body disease(ILBD)20例、多系統萎縮症(MSA)20例の心臓神経叢、交感神経節、延髄迷走神経背側核を検索した。その結果、(1)PDでは全例において心臓交感神経の高度の脱落が認められた。(2)ILBDでは交感神経節および延髄に神経細胞脱落は認められなかったが、20例中10例において心臓交感神経の軽度から中等度の脱落が認められた。(3)心臓交感神経におけるαシヌクレインの蓄積は免疫組織化学的に検出できる最も早期の変化であった。(4)MSAでは心臓交感神経は保たれていた。このことは、心臓交感神経の脱落はパーキンソン病における早期の変化であり、心臓交感神経の変性は軸索の末端から逆行性に進行することを示唆する。 3)パーキンソン病の線条体におけるαシヌクレインの蓄積について25剖検例を対象に検討した。その結果、小型神経細胞ではstage3(中期)から、大型神経細胞ではstage5(末期)にαシヌクレイン陽性封入体が形成されることが明らかになった。このことは線条体ではintrinsic neuronが障害されることを初めて明らかにした報告であり、パーキンソン病の病変進展過程を理解する上で重要な知見である。
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Research Products
(8 results)