2006 Fiscal Year Annual Research Report
ミクログリアは有益か有害か:剖検脳と認知症モデル動物脳の神経病理学的研究
Project/Area Number |
18500276
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
佐々木 惇 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (80225862)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東海林 幹夫 弘前大学, 医学部, 教授 (60171021)
池田 将樹 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (50222899)
|
Keywords | microglia / tau / alpha-synuclein / transgenic mice / AT8 / Ibal / Alzheimer's disease / tauopathy |
Research Abstract |
我々は今年度、ヒト神経疾患剖検脳とタウオパチーモデルtransgenic(Tg)miceを用いて、microgliaと病態の関連を病理学的に検索し、microgliaの役割・機能を検討した。その結果は国際・国内学会と論文を通して発表された。 1)ヒトαシヌクレイノパチー脳組織の病理学的検討では、ミクログリア活性化の程度は様々であり、病変部灰白質ではスカベンジャー受容体や神経障害性因子(iNOS)を発現する活性化ミクログリアが神経細胞死と関連して出現することが示された。(第47回日本神経病理学会、岡山) 2)ヒトタウオパチー脳と変異tau P301Lを有するtauを過剰発現するTg miceにおいて、microgliaの病態を免疫組織化学および電子顕微鏡により検討した。その結果、ミクログリアの活性化はtau沈着と相関することが認められた。病変部の組織学的検索により、リン酸化tau陽性のNFTやPickbody自体が直接的なmicroglia活性化因子となる可能性は低いことが示された。(第16回国際神経病理学会、米国) 3)ヒトの二次性進行性multiple sclerosis(MS)の剖検材料を用いて、microgliaとastrocyteのchemokineとその受容体発現を検討した。その結果、microgliaはchmokineを発現せず、受容体であるCCR-2、CXCR3を発現すること、astrocyteから産生されたchemokineによって病変部に誘導されたmicrogliaはMMP-9などの神経障害因子を分泌し、脱髄や軸索障害を引き起こすことが示唆された。MS病巣の周辺部では有害なmicrogliaが存在し、その遊走・活性化はchmokineで制御されていると考えられた。(Acta Neuropathol 112:195-204,2006)
|
Research Products
(7 results)