2007 Fiscal Year Annual Research Report
ミクログリアは有益か有害か:剖検脳と認知症モデル動物脳の神経病理学的研究
Project/Area Number |
18500276
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
佐々木 惇 Gunma University, 大学院・医学系研究科, 准教授 (80225862)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東海林 幹夫 弘前大学, 医学部, 教授 (60171021)
池田 将樹 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (50222899)
|
Keywords | microglia / amyloid β protein / tau / transgenic mice / Alzheimer's disease / astrocytoma / lymphoma / Ibal |
Research Abstract |
我々は今年度,ヒト脳腫瘍組織とアミロイドβ蛋白ないしリン酸化タウtransgenic(Tg)mice脳組織を用いて,microgliaと病態の関連を病理学的に検索し,microgliaの役割、機能を検討した。その結果は国内学会と論文を通して発表された。 1)ヒトの脳原発リンパ腫の腫瘍組織では,活性化ミクログリア/マクロファージがアポトーシスの貧食、処理に関与することを示し,ミクログリアの有益性が示唆された。さらに,ミクログリアマーカーの一つであるグルコーストランスポーター5がリンパ腫腫瘍細胞にも発現することを病理学的に提示した(第25回日本脳腫瘍病理学会,熊本)。2)脳アミロイドβ沈着を再現するTg2576マウスを用いて,ミクログリアの活性化状態を検討した。その結果,Tg2576マウスにおけるミクログリアの活性化は,アミロイドβ沈着部位の周囲に限局してみられ,アミロイドβ沈着後に明瞭となることが示された。以上の結果から,ミクログリアのアミロイド清掃機能が示唆された(第48回日本神経病理学会,東京)。3)ヒトタウオパチー脳と変異tau P301Lを有するtauを過剰発現するTg miceにおいて,microgliaの病態を免疫組織化学および電子顕微鏡により比較,検討した。その結果,ミクログリアの活性化はtau沈着と相関すること,そして,P301LTGマウスのミクログリア活性化は,ヒトタウオパチーのミクログリアと比較してclassII抗原とSRAの発現が弱いことが示された。今回の結果からヒトとマウスのミクログリア活性化の違いが明らかとなった(Brain Research 2008 on line)。
|