2006 Fiscal Year Annual Research Report
段階的切断によるアミロイドβタンパク質の産生と膜内領域の代謝
Project/Area Number |
18500277
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森島 真帆 東京大学, 大学院医学系研究科, 講師 (50204722)
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Keywords | アミロイドβタンパク質 / γセクレターゼ / アルツハイマー病 / APP / プレセニリン / 膜 / プロテアーゼ |
Research Abstract |
γセクレターゼは、APPからAβを産生する際に、APPの膜・細胞質境界領域のε部位で切断した後、膜貫通領域のαヘリックスに沿って3アミノ酸残基ずつ切断し、最終的に膜内中央のγ部位で切断するという仮説を立て、その検証を試みた。 APPがε部位などで切断された後、C末端側から3アミノ酸残基ずつ切断されることを証明するために、まず、ε部位で切断された長いAβ(Aβ49)が細胞内に溜まる条件を探した。遷移状態アナログ阻害剤以外の様々なγセクレターゼ阻害剤で細胞を処理すると、多くの場合、DAPTの場合と同様に、Aβ46が細胞内に溜まったが、現在までのところ、Aβ49が溜まる条件を見つけることはできなかった。そこで、DAPT処理でAβ46が溜まった細胞の膜画分を調製し、Aβ46からAβ43とAβ40がγセクレターゼ依存的に産生されるかどうかについて、検討を行っている。 また、γセクレターゼにより産生され膜から放出されると予想される、APPのγ部位とε部位の間の領域に由来する3アミノ酸残基のペプチドを、LC/MS/MSを用いて直接的に検出し同定することを試みた。βCTFを発現する細胞から膜画分を調製してインキュベートすると、Aβが産生される。この時の反応液をHPLCで部分精製し、これをさらにLC/MS/MSで解析した結果、予想通りの5種類のトリペプチド、IAT、VIV、ITL、TVI、VITを検出、同定することができた。これらのトリペプチドの産生はL685,458により抑制された。従って、Aβが産生される際には、γ部位とε部位の間のAPP膜内領域が、γセクレターゼにより3アミノ酸残基ずつ切断されて、トリペプチドが放出されると考えられる。現在、トリペプチドの定量的解析を行い、切断の時系列について調べている。
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