2007 Fiscal Year Annual Research Report
段階的切断によるアミロイドβタンパク質の産生と膜内領域の代謝
Project/Area Number |
18500277
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
森島 真帆 Hokkaido University, 大学院・薬学研究院, 特任准教授 (50204722)
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Keywords | アミロイドβタンパク質 / γセクレターゼ / 膜 / アルツハイマー病 / プロテアーゼ / APP / ラフト |
Research Abstract |
私達はこれまでの研究から、γセクレターゼがAPPの膜内領域を複数カ所で切断していることを明らかにし、切断部位の位置およびγセクレターゼ阻害剤に対する感受性の相違から、γセクレターゼがAPP膜内領域を、そのαヘリックス構造上のある面に沿ってC末端側から3アミノ酸残基ずつ切断し、最終的にAβを産生するという仮説を立てた。本年度は、これを実証するために、γセクレターゼにより、長いAβ(Aβ46)が、実際にC末端側から3残基ずつ切断されていくことを証明した。 βCTFを誘導的に発現するCHO細胞株を、γセクレターゼ阻害剤DAPTで処理して発現誘導を行うと、Aβ46が細胞内に溜まった状態を作ることができた。細胞を回収し、CHAPSO存在下のショ糖密度勾配遠心法で分画すると、ラフトを含む膜画分にAβ46が分画された。この画分を用いてcell-free系によるAβ産生実験を行うと、Aβ40、Aβ42、Aβ43とAICDが産生された。ところが、L685,458存在下で反応を行うと、βCTFの切断(AβとAICDの産生)が抑制されているにもかかわらず、Aβ40とAβ43が産生され、溜まっているAβ46が消失することが分かった。この時、Aβ42は産生されなかった。これらの反応は、DAPTを加えると抑制されたため、γセクレターゼ依存性であると考えられた。また、タイムコースを追って調べると、Aβ46の減少量は、Aβ40とAβ43の増加量の和にほぼ一致した。以上の結果から、Aβ46はγセクレターゼにより切断されて、Aβ40とAβ43を生じるが、Aβ42は生じないことが示唆された。これは、γセクレターゼがAPPをC末端側から3アミノ酸残基ずつ切断するという仮説を支持する結果である。
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Research Products
(4 results)