2007 Fiscal Year Annual Research Report
筋萎縮性側索硬化症と変異SOD1導入マウスの病理学的研究
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18500280
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
佐々木 彰一 Tokyo Women's Medical University, 医学部, 准教授 (40119962)
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Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / 運動ニューロン疾患 / 後根神経節 / ミトコンドリア / 超微細構造 / 封入体 / 電子顕微鏡 / 病理 |
Research Abstract |
【目的】:孤発性筋萎縮性側索硬化症(ALS)におけるミトコンドリアの形態異常の有無を明らかにする。 【方法】:孤発性ALSll例(年齢:48-76歳、平均61.5±7.9歳)、神経疾患以外の疾患で死亡し、年齢を適合した対照例12例(年齢:49-83歳、平均68.6±9.1歳)の後根神経節を用いた。剖検時に後根神経節を切り出して2%グルタールに固定し、型の如く処理したあとエポンに包埋した。プラスチック切片にトルイジンブルー染色を施して光顕で観察し、至適部位の超薄切片を作成、酢酸ウラニウムとクエン酸鉛の二重染色を施して電子顕微鏡で観察した。 【結果】:ALSで検索した細胞数は1症例当たり平均128.3±14.3(対照例:125.1±17.7)で、全ALS症例でミトコンドリアの内部あるいは膜間腔に線維状の封入体が認められた。対照例でも1例を除く全症例で同封入体が認められた。ALS症例ではミトコンドリア内封入体を含む細胞数は1症例当たり平均23.6±9.6(対照例:7.6±5.6)(P<0.001)で、封入体を含むミトコンドリアの数は1細胞当たり平均60.7±23.9(対照例:14.8±16.2)(P<0.001)であった。封入体の数は1ミトコンドリア当たり1個から10個以上とばらつきがみられた。封入体は縦断面では線維状の構造物として、横断面では管状の構造物として認められた。その他、ALSおよび対照例の全例でミトコンドリア内に電子密度の高い円形の封入体がみられた。 【結論】:ヒトの後根神経節におけるミトコンドリア内に特徴的な管状の封入体がみられた。封入体は対照例よりもALS症例でより高頻度にみられることから、ALSでは後根神経節のミトコンドリアが障害されていること、またALSでは病変が運動ニューロン系にとどまらず、感覚系を含むより広範囲な部位にまで及んでいることが示唆される。
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Research Products
(4 results)