2006 Fiscal Year Annual Research Report
Srcファミリーチロシンキナーゼによる新たな神経機能制御機構の解明
Project/Area Number |
18500288
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
大西 浩史 群馬大学, 生体調節研究所, 助教授 (70334125)
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Keywords | タンパク質チロシンリン酸化 / 細胞間相互作用 / 神経軸索 / 樹状突起 / 神経回路 / 神経形態 / SHPS-1 / CD47 |
Research Abstract |
受容体型膜蛋白質SHPS-1はその細胞内領域がチロシンリン酸化を受け、チロシンホスファターゼSHP-2と結合して下流へとシグナルを伝える。SHPS-1は神経系で特に強く発現しており、神経系におけるチロシンリン酸化シグナルの制御に重要な役割を果たすと考えられる。また、SHPS-1はその細胞外領域のリガンドである膜蛋白質CD47と細胞間相互作用シグナルシステムCD47-SHPS-1系を形成する。本研究ではCD47-SHPS-1系について、主にCD47側シグナルの機能解析を行った。CD47遺伝子破壊マウスから培養した海馬神経細胞は野生型マウスと比べて、神経樹状突起、軸索の形成が抑制される傾向が認められた。逆に、CD47の過剰発現は、野生型海馬神経細胞において樹状突起形成の促進作用を示した。さらに、過剰発現させたCD47をリガンドであるSHPS-1で刺激すると、フィロポディア、スパイン形成の促進が認められた。これらの結果から、CD47は神経突起の形成を促進的に制御し、またSHPS-1との相互作用によりシナプス形成を促進的に制御する可能性が示唆された。さらにCD47下流シグナルについて解析を行い、CD47の下流では、GDP/GTP交換因子であるVav2,FRGが、Srcファミリーチロシンキナーゼにより活性化し、低分子量Gタンパク質Rac, Cdc42を介して神経突起の形成を促進する可能性を示した。本研究の結果より、実際の神経系でも、CD47-SHPS-1系が神経の形態変化を制御することで、神経回路網の形成を制御する可能性が想定された。今後、これら分子による細胞間相互作用シグナル及び細胞内チロシンリン酸化シグナルと神経機能制御との関連について解析を進める予定である。
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