2006 Fiscal Year Annual Research Report
DNA修復系の破綻による神経分化異常と神経病態発症メカニズムの解析
Project/Area Number |
18500292
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
榎戸 靖 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (90263326)
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Keywords | アポトーシス / ポリグルタミン病 / 神経幹細胞 / ニューロン / 神経変性疾患 / 精神発達遅延 |
Research Abstract |
脳神経系の正常発達ならびに精神・神経疾患において、DNAダメージ/修復系がどのような役割を演じているのか未だ明らかでない点が多い。我々はこれまで、精神発達遅延等を症状とする色素性乾皮症ならびにコケイン症候群を対象に、DNA修復系の破綻が脳神経系の正常発達を妨げることによって早期老化やニューロン死の原因となることを報告してきた。 本研究ではこれらの結果をもとに、ポリグルタミン病の発症メカニズムへのDNAダメージ/修復系の関与について解析を行った。本年度は異常ポリグルタミン蛋白質が核内に蓄積することによって、核ストレスを介したATMやp53、HMGB1などのDNAダメージ/修復遺伝子産物の活性化が見られることを明らかにした。また、これらを阻害することにより、異常ポリグルタミン蛋白質による神経細胞死が抑制されることがわかった(Qi et al.Nature Cell Biol.(2007) in press)。以上の結果は、DNAダメージ/修復系が発達期のみならず成熟後の脳神経系の機能維持にとっても極めて重要な役割を果たしていることを示すと同時に、それらを標的とした難治性神経変性疾患の治療薬の開発にも貴重な手がかりとなることを意味している。現在、本研究の過程で新たに見つかったDNA修復関連遺伝子産物の機能解析をショウジョウバエ等のモデル動物を使って進めるとともに、神経保護効果をもつ特異的な阻害剤の検索のためのハイスループットスクリーニングを行っている。
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Research Products
(2 results)