2007 Fiscal Year Annual Research Report
DNA修復系の破綻による神経分化異常と神経病態発症メカニズムの解析
Project/Area Number |
18500292
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
榎戸 靖 Tokyo Medical and Dental University, 難治疾患研究所, 准教授 (90263326)
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Keywords | 神経細胞死 / DNA二重鎖切断 / 酸化ストレス / 神経変性疾患 / 精神発達異常 |
Research Abstract |
非分裂細胞として長期間生存し続けるニューロンでは、ゲノム情報の維持は極めて重要な防御メカニズムだと考えられている。特に細胞周期を止めた状態で機能し続けるニューロンでは、転写と関係したDNA修復メカニズムが重要となる事が予想される。こうした考えをもとに、これまで我々はニューロンの発達ならびに老化、病態の過程においてDNAダメージ/修復遺伝子群がどの様な役割を担っているかに注目し、解析を行ってきた。 本年度は、核ストレスによってDNA二重鎖切断(DDSB)がニューロンに確かに誘導される事を、初代培養ニューロンならびにハンチントン病モデルマウスによるin vitro、in vivoの両実験系によって証明した。さらにDDSBによる神経変性疾患発症機構の鍵分子としてHMGB蛋白質およびその関連遺伝子群に注目し、それらの遺伝子改変マウスおよびショウジョウバエを作製した。興味深い事に、ハンチントン病モデル動物で見られる神経症状はそれら遺伝子の過剰発現によって有意に改善される事を明らかとした。さらに、異常ポリグルタミン蛋白質との相互作用によって核内のDNA二重鎖切断修復活性が低下する事を見出した(Quiet. al.,(2007)Nature Cell Biol.;Enokido et al.,投稿準備中)。 現在、同様のメカニズムが他の神経変性疾患でも同様に見られるかどうか、さらに神経幹細胞の分化異常等にも関わるかどうかなどに注目し、解析を進めている。
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Research Products
(7 results)