2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18500297
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
有働 洋 九州大学, 大学院理学研究院, 助教 (70363322)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 博之 九州大学, 大学院理学研究院, 教授 (20124224)
|
Keywords | 神経生物学 |
Research Abstract |
我々は神経幹細胞の増殖を促す成長因子としてVEGF(血管内皮増殖因子)、bFGF(塩基性線維芽細胞増殖因子)等に注目し、それらが神経新生および高次脳機能に与える影響について解析を行った。 VEGFを前脳で過剰発現するトランスジェニックマウス(VEGF-TGマウス)について細胞学的な解析を行った。導入したVEGFは海馬において強く発現し、著しい毛細血管の形成作用および海馬歯状回における細胞分裂活性の上昇(^-80%)が認められた。VEGF-TGマウスでは神経前駆細胞および未熟神経神経細胞の増加も著しく、脳重量が有意に増加したほか顆粒神経細胞層の肥大化が認められた。野生型マウスでは自発的な運動により神経新生が促進されるが、VEGF-TGマウスでは運動による相加的な神経新生は認められず、この結果は、運動による神経新生にVEGFが関わっているか、VEGFの発現で神経新生が上限に達している可能性を示唆する。一方、個体レベルでの解析として情動に関わる行動実験を行ったところ、VEGF-TGマウスでは恐怖感や不安感が著しく減少しており、うつ状態になりにくい特性を有していた。抗うつ・不安薬は神経新生を促すことが最近示唆されており、我々の結果はこの仮説に沿うもので興味深い。また、神経新生が記憶・学習に与える影響を解析するためバーンズ迷路の行動実験を行った。学習効果はVEGF-TGと野生型マウスとの間で有意差が認められず、神経新生を強制的に促進しても記憶・学習能力の向上に直接つながるとは言えない。 VEGF以外の神経幹細胞に作用する成長因子としてbFGFおよびEGFに注目している。我々はbFGFをCaMKIIプロモーターの制御下で発現するトランスジェニックマウスを作製している。7系統の動物が得られ、内4系統についてbFGFが前脳で発現していることを確認した。現在、神経新生に与える影響を調べている。
|