2006 Fiscal Year Annual Research Report
冬眠ハムスターの神経保護および神経機能維持機構解明に関する研究
Project/Area Number |
18500303
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
田村 豊 福山大学, 薬学部, 助教授 (30217202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門田 麻由子 福山大学, 薬学部, 助手 (10389075)
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Keywords | 冬眠 / ハムスター / 神経保護 / アデノシン / オピオイド / 視床下部 / c-Fos / differential display |
Research Abstract |
平成18年度は、申請した研究計画に基づき、下記の研究を推進して知見を得た。 (1)低体温による神経障害(神経細胞死)から神経を保護する新規物質の検索と神経保護機構の解明に関する研究実績 (1)砂ネズミを用いた一過性の虚血モデルにおいて、冬眠ハムスターの血清は、虚血に伴う海馬CA1錐体細胞の脱落を抑制した。 (2)初代培養海馬ニューロンを用いた実験において、22℃以下で培養することにより神経細胞死が発現した。また、この神経細胞死はミトコンドリアからのcytochrome C遊離に起因するcaspase依存性のアポトーシスであることを示す知見が得られた。 (3)ハムスターの冬眠時体温制御に関与する物質のうち、アデノシン、オピオイドなどの体温下降作用を有する物質が低温誘発神経細胞死に対する保護作用を有すること、thyrotropin-releasing hormoneなどの体温上昇作用を有する物質は神経保護作用を発現しないことを明らかにした。 (4)冬眠時に活動している神経細胞からの神経保護物質を見いだすために、c-Fosを指標に、冬眠時の神経活動を検索した。その結果、視床下部の弓状核で冬眠後にc-Fosの発現が増加することが明らかとなった。 (5)非冬眠ハムスターの視床下部から、cDNAライブラリーの作成を行う研究を遂行中である。 (6)さらに、冬眠維持期の神経機能維持機構を解明するために、冬眠開始後27時間と30時間の視床下部からmRNAを抽出し、differential display法を用いて、冬眠維持期に特異的に発現してくる遺伝子の解析を行っている。
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