2007 Fiscal Year Annual Research Report
冬眠ハムスターの神経保護および神経機能維持機構解明に関する研究
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18500303
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
田村 豊 Fukuyama University, 薬学部, 准教授 (30217202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門田 麻由子 福山大学, 薬学部, 助手 (10389075)
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Keywords | 冬眠 / ハムスター / 冬眠維持期 / μ1受容体 / β-エンドルフィン / 弓状核 / 終盤脈絡器官 / differential display |
Research Abstract |
平成19年度は、平成18年度に得られた知見に基づき研究を遂行し、下記の知見を得た。1.冬眠維持期の体温制御機構に関する知見(1)冬眠維持期にμl受容体の拮抗薬、あるいは、抗β-エンドルフィン抗体を側脳室に投与することにより冬眠が中断された。(2)弓状核において、冬眠開始1時間後は神経細胞の細胞体でβ-エンドルフィン免疫反応性が増強し、冬眠開始17時間後では神経線維で免疫反応性が増強した。さらに、冬眠開始30時間後では、β-エンドルフィンの免疫反応性は冬眠前のレベルに戻った。(3)冬眠開始17時間後の終盤脈絡器官において、神経線維におけるβ-エンドルフィンの免疫反応性増大が観察された。(4)エンドモルフィン-1、エンドモルフィン-2、ダイノルフィン、メチオニンエンケファリンは、いずれも冬眠後に免疫反応性は低下していた。以上の知見より、冬眠維持期の体温は、弓状核で産生されたβ-エンドルフィンが、軸索輸送により終盤脈絡器官に輸送され、μ受容体を活性化することにより制御されていることが示唆された。2.冬眠制御に関わる遺伝子発現に関する知見冬眠開始27時間後と30時間後の視床下部から抽出したmRNAのdifferential displayを行うことにより、冬眠維持期に特異的に発現してくる遺伝子の解析を行った。(1)解析の結果、4つのmRNAが冬眠開始27時間後から30時間後にかけて特異的に発現してくることが明らかになった。(2)4つのmRNAの相同性解析より、若年性網膜分離症関連蛋白質、脱ユビキチン化酵素、GTP結合性蛋白αサブユニット、hexose-6-phosphate dehydrogenaseをコードする遺伝子である可能性が示された。
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