2007 Fiscal Year Annual Research Report
小脳皮質・小脳核間の機能構築の関係と小脳核における入力の統合に関する研究
Project/Area Number |
18500309
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
杉原 泉 Tokyo Medical and Dental University, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (60187656)
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Keywords | 小脳 / プルキンエ細胞 / 小脳核 / 小脳皮質 / アルドラーゼC / ビオチン化デキストラン / ラット / 神経解剖学 |
Research Abstract |
われわれは、アルドラーゼC染色と下オリーブ小脳投射の順行性標識の二重染色により、小脳反質と小脳核において、アルドラーゼC発現パタンに裏付けられた機能構築(縦縞状の分子コンパートメント)の存在を明ちかにしてきた。しかし、小脳皮質の基本構築(縦のコンパートメントと横の小葉構造)が小脳核にどのように表現されているかは未だよく分かっていない。本研究では、小脳皮質から小脳核へのプルキンエ細胞の投射のトポグラフィーを詳細に解明し、その結果から、脳幹-小脳皮質-小脳核間の神経回路の構築の基本原理をつきとめ、小脳核における小脳出力の統合につき検討することを目的としている。 実験動物としてラットを用い、小脳皮質にビオチン化デキストランを微少注入して少数のプルキンエ細胞を標識し、単一軸索を再構築した。また、二重染色によってアルドラーゼCを標識することにより、そのプルキンエ細胞の存在するコンパートメントを同定し、さらにそのプルキンエ細胞の投射先を小脳核中にマッピングした。小脳皮質で陽性のコンパートメントからは、小脳核の後部に投射し、小脳皮質の陰性のコンパートメンドからは小脳核の前部に投射するというトポグラフィーが得られた。このトポグラフィーは、これまでに調べた下オリーブ核から小脳皮質への投射とその軸索側枝による小脳核への投射のトポグラフィーと、ほぼ完全な対応関係をなしていた。小脳皮質の縦のコンパートメントと横の小葉構造は、小脳核と下オリーブ核では二次元的に表現されていることが示唆された。以上の結果は、脳幹の下オリーブ核-小脳皮質-小脳核という3者の間で、緻密な対応関係で連絡する神経回路のループが作られていることを示す。
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