2006 Fiscal Year Annual Research Report
中枢ニューロンにおいて脱分極自体が誘発する細胞内カルシウム放出の機序解明
Project/Area Number |
18500311
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
石橋 仁 生理学研究所, 発達生理学研究系, 助教授 (50311874)
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Keywords | カルシウムストア / パッチクランプ / 脱分極 / 高カリウム刺激 / 脊髄後角 / グリシン放出 |
Research Abstract |
2週齢ラットの脊髄後角から機械的処理により急性単離した神経細胞を用い、蛍光Ca^<2+>指示薬Fura-2AMを神経細胞内に導入した。共焦点顕微鏡を用いて、細胞内Ca^<2+>測光を行ったところ、細胞外にCa^<2+>が存在しない条件下でも細胞外のK^+イオン濃度の増加による脱分極刺激によって、細胞内Ca^<2+>濃度が増加した。一方、脊髄後角より機械的処理によりて急性単離した神経細胞にパッチクランプ法を適用して、高カリウム刺激を行うと、抑制性グリシン作動性シナプス後電流(IPSC)の頻度が著明に増加した。このIPSC頻度増加作用にリアノジンは無効であったが、Thapsigarginの前処置により著明に抑制された。細胞外Ca^<2+>-freeの条件下では電位依存性Ca^<2+>チャネルをNa^+が通る様になるため、過剰なNa^+が細胞内へ流入すると考えられる。過剰なNa^+の流入はミトコンドリアのNa^+/Ca^<2+> exchangerを活性化させ、ミトコンドリアからCa^<2+>放出を誘発する可能性がある。よって、細胞外Na^+濃度を減少させて脱分極刺激を行ってみたが、IPSCの頻度増加を抑制することは出来なかった。しかし、細胞外Na^+-freeの条件下では、コントロールレベルへのリカバリーが著明に抑制された。細胞外Na^+イオンは細胞膜に存在するNa^+/Ca^<2+> exchangerの活性に重要であることから、神経終末部においても細胞膜の脱分極自体によって、細胞内Ca^<2+>貯蔵部位からCa^<2+>が放出されることが明らかになった。 次年度にさらに研究をすすめて、脱分極自体が誘発する細胞内カルシウム放出の機序を解明したいと考えている。
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Research Products
(4 results)