2007 Fiscal Year Annual Research Report
中枢ニューロンにおいて脱分極自体が誘発する細胞内カルシウム放出の機序解明
Project/Area Number |
18500311
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
石橋 仁 National Institute for Physiological Sciences, 発達生理学研究系, 准教授 (50311874)
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Keywords | カルシウムストア / 蛍光Ca^<2+>濃度測定 / 脱分極 / 高カリウム刺激 / 中枢神経細胞 / グリシン放出 |
Research Abstract |
脱分極自体で細胞内Ca^<2+>貯蔵部位からのCa^<2+>放出が起こるメカニズムを明らかにするため、蛍光測光及び電気生理学的手法を用いて検討を行った。まず、2週齢ラットの脊髄後角から機械的処理で急性単離した神経細胞を用い、蛍光Ca^<2+>指示薬Fura-2AMを神経細胞内に導入した。共焦点顕微鏡を用いて、細胞内Ca^<2+>測光を行ったところ、細胞外にCa^<2+>が存在しない条件下でも細胞外のK+イオン濃度の増加による脱分極刺激によって、細胞内Ca^<2+>濃度が増加した。単離神経細胞の細胞内Ca^<2+>蛍光測定を行いながら、アンフォテリシンB穿孔パッチクランプ法を適用して、膜電位を脱分極側に変化させると、Ca^<2+>濃度の上昇が認められ、実際に脱分極自体で細胞内Ca^<2+>貯蔵部位からCa^<2+>放出が起こることを証明できた。さらに種々の薬物を用いて、この現象にIP_3受容体が関与することがわかった。次に、神経終末部の脱分極刺激が開口放出を誘発するかについて、シナプス小胞をFM1-43で染色して検討した。細胞外Ca^<2+>-free中の脱分極刺激によってFM1-43の蛍光強度が減少し、細胞外からのCa^<2+>流入が無い条件下で、脱分極自体で開口放出が起こることがわかった。次に、培養細胞を用いて活動電位の伝導による神経終末部の脱分極が細胞外Ca^<2+>-freeの条件下でも伝達物質放出の効率を変化させ得るかについて検討を行ったところ、細胞外Ca^<2+>-freeの条件下の高頻度刺激で、伝達物質放出確率が上昇することがわかった。従って、脱分極自体による細胞内Ca^<2+>放出が神経終末部からの神経伝達物質放出にも重要な役割を果たしていることがわかった。
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Research Products
(4 results)