2007 Fiscal Year Annual Research Report
銅代謝異常遺伝子をもつ糖尿病モデル動物を用いた糖尿病合併症における銅の役割の解明
Project/Area Number |
18500324
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
笠井 憲雪 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 教授 (60001947)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡村 匡史 国立国際医療センター研究所, 感染症制御研究部, 室長 (00333790)
新矢 恭子 神戸大学, 医学部附属医学医療国際交流センター, 准教授 (90374925)
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Keywords | 糖尿病 / モデル動物 / 銅代謝異常 / コンジェニックラット / 統合失調症 / プレパルスインヒビション / Atp7b遣伝子 |
Research Abstract |
この研究の目的は、銅代謝異常モデル動物(LECラット)の原因遺伝子である変異Atp7b遺伝子を戻し交配により糖尿病モデルLEAラットへ導入したコンジェニックラット(銅代謝異常糖尿病ラット)を用い、糖尿病や関連疾患と銅代謝との関わりを解明することである。さらにこの研究中にこのラットの多動性の性質を見出したので、各種の行動解析を行い、銅代謝異常および糖尿病と統合失調症等との関係を明らかにすることも目的とした。 銅代謝異常糖尿病ラットであるLEA-IEC-Atp7bコンジェニックラットの糖尿病病態を糖尿病モデルLEA/Sendaiラットの病態と血糖値を測定することにより比較した結果、コンジェニックラットの各週齢ともに耐糖能異常は示したものの両群間で大きな差は無かった。次に、これらのラットは非常に行動が活発であるため、上記2群及びコントロールとしてLEラットの行動解析実験を行った。自発運動量、オープンフィールド実験ではLEAとの間には大きな差は無かった。一方、プレパルスインヒビション試験ではコンジェニックラットは他の2群よりも有意に抑制されていた。次にLEAラットとコンジェニックラットにD-ペニシラミンを投与し、肝臓への銅蓄積を阻害して行動観察を行うと、上記同様プレパルスインヒビション試験ではコンジェニックラットはLEAラットよりも有意に抑制されていた。 以上の結果より、LEA-IEC-Atp7bコンジェニックラットは耐糖能がLEAラットよりも若干改善されているが、行動実験ではプレパルスインヒビション試験で有意に抑制されていることから、統合失調症の可能性があり、さらにその原因が肝臓への銅の蓄積とは関係せず、変異したAtp7b遺伝子そのものの原因と考えられた。今後、耐糖能異常、統合失調症、Atp7b遺伝子欠損及び銅代謝異常とのかかわりを検討し、統合失調症の一つの原因を探り、モデル動物の可能性を検討する。
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Research Products
(2 results)