2006 Fiscal Year Annual Research Report
MRI酸素代謝イメージング法の確立:毛細血管における動的磁場歪みの応用
Project/Area Number |
18500339
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山本 徹 北海道大学, 医学部, 教授 (80261361)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黄田 育宏 北海道大学, 大学院歯学研究科, 助手 (60374716)
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Keywords | MRI / 磁化率 / 酸素代謝 / 血行動態 / 赤血球 |
Research Abstract |
毛細血管内赤血球によるミクロ磁場歪みの影響を定量的に把握するために、次の順に研究を進めた。 I.血液中赤血球による磁場歪みの定量化 採血したラット血液の酸素飽和度を変え、7T分析用NMR装置を用いマルチエコー法により横緩和時間を求めた。その結果、横緩和率から導出された赤血球による磁場歪みの値は、別途1.5TMRIにて測定した値と比較し、磁場強度およびエコースペースの違いを考慮するとほぼ一致した。また、血液に常磁性造影剤を加え同様な実験を行い、造影剤投により血漿の磁化率が増加するために、横緩和時間が最大となる血液酸素飽和度が予想どおり低下することを確認した。これらの結果から、血液中では赤血球によるミクロ磁場歪みが発生していることが検証され、その程度も定量的に求められた。 II.大脳皮質における毛細血管内赤血球によるミクロ磁場歪みの影響の定量評価 1.5T MRI装置を用いて成人男性頭部を異なる2つのエコータイム(TE=5.2,88ms)のスピンエコー法で1分毎に50分間撮像し、常磁性造影剤投与による大脳皮質の信号強度変化を測定した。常磁性造影剤投与により血液磁化率を増加させたとき、太い血管周囲の磁場歪みの影響を反映するTE=88msの信号強度は低下したが、毛細血管での磁場歪みを反映するTE=5.2msの信号強度は有意な変化を示さなかった。一方、被験者の血液酸素飽和度が低下したときは、造影剤投与と同様にTE=88msの信号強度は低下し、さらに、TE=5.2msの信号強度も顕著に低下した。次に、TEを変えて撮像することで大脳皮質の横間和時間を解析し、毛細血管での磁場歪みによる緩和時間が約20msであり、この値は上記Iの実験結果と矛盾しないことを確認した。以上の結果から、毛細血管内赤血球によるミクロ磁場歪みによるT2^*緩和現象の詳細が明らかになった。
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