2008 Fiscal Year Annual Research Report
疑似ランダム刺激による視覚性事象関連電位を利用したコンピュータ入力装置の開発
Project/Area Number |
18500353
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
百瀬 桂子 Waseda University, 人間科学学術院, 准教授 (60247210)
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Keywords | 脳コンピュータインタフェース / BCI / 事象関連電位P300 / 視覚誘発電位 / 疑似ランダム刺激 / 注視点検出 / 非侵襲的脳活動計測 |
Research Abstract |
本研究の目的は,コンピュータシステムへの入力手段として,ユーザの注視点と事象関連電位(ERP)P300を同時に計測する新たな方法を提案し,入力装置開発のために必要な要件を明らかにすることである. 本年度は,前年度までに確定した刺激方法及び応答検出法に基づいて実測を行い,最適な刺激条件について検討した.実際の脳コンピュータ入力インタフェースを想定して,9個の文字視覚刺激を3行3列のマトリクス状に配置した刺激画面を用い,視覚疾患のない健常大学生を対象とした実測を行った.その結果,注視点とP300の同時検出により,最短5.11秒で被験者の意図した文字の検出ができ,そのエラー率は平均21%であった.エラー率は,被験者ごとのばらつきが大きく,前年度の結果と同様に,ERP波形(P300)の個人差が特に大きく影響していた.さらに,刺激提示位置によりエラー率に偏りがみられた.刺激提示位置および個人ごとに応答検出方法を最適化する必要性が示唆された.前年度にも確認されていたP300検出の改善については,既に多数提案されている検出方法の適用を検討したが,本研究実施期間中に十分な精度の改良案を確定するには至らなかった. 以上より,メニュー選択型の入力装置のために新たな意図検出方法の提案とその可能性の確認はできたものの,実用に耐えうる精度をもった方法論の確定には至らなかった.研究期間終了後も引き続き,提案法の改善および最適化を検討していく予定である.
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