2006 Fiscal Year Annual Research Report
生体内で長時間の酸素運搬効力を有するヘモグロビン小胞体の構築
Project/Area Number |
18500368
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
武岡 真司 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (20222094)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武岡 真司 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (20222094)
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Keywords | 人工臓器学 / 生体機能材料 / 薬物送達システム / 酵素化学 / 生体系類似化学 / 酵素とタンパク質 |
Research Abstract |
酸素運搬体であるHb小胞体の酸化(met化)の抑制には、チロシンを基質としたmetHbのペルオキシゲナーゼ活性を利用した過酸化水素消去系が効果的であることを、反応中間体であるferrylHbラジカルを単離して、UV-visスペクトルやESRスペクトル測定を行った。その結果、metHbは過酸化水素と反応してferrylHbラジカルとなり、過酸化水素は水となる。このferrylHbラジカルが二分子のチロシンと反応してmetHbに戻り、チロシンラジカルはジチロシンとなる。この反応が安定にサイクルして、過酸化水素が消去されジチロシンが生じることが明らかとなった。この過酸化水素消去系をHb小胞体内に組込み、met化挙動をin vitro, in vivo系にて評価したところ、過酸化水素を連続添加してもmetHbの生成は大幅に抑制された。更に、水に難溶なチロシンを予め中和した塩の状態で高濃度Hb溶液に高濃度に溶解させることに成功し、これをHb小胞体に導入してラットに20%負荷投与したところ、met化率が50%に到達するまでの時間が3倍延長した。 また、一酸化炭素化率の異なる部分一酸化炭素化Hbを調製する条件を確立し、それらを用いてmet化率の推移を測定したところ、一酸化炭素化率の関わらず残りの酸素化Hbのmet化率の推移はほぼ同じであった。従って、一酸化炭素化Hbからの一酸化炭素の脱離に伴って緩やかにmet化が起こる系の構築の可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)