Research Abstract |
[目的]安全で有効な癌の遺伝子治療法の一つとして超音波照射による細胞への遺伝子導入法が注目されている。 以前,我々は超音波造影剤(マイクロバブル)存在下での低浸襲性超音波の遺伝子導入効果について報告した。本研究では,マイクロバブル(Sonazoid,第一三共)を用い,低浸襲性超音波の遺伝子導入増強効果について比較検討した。 [方法]GFP encoded plasmid DNA(pQBI25)を20μgと異なった量のマイクロバブルを2x10^6Chinese hamster ovary(CHO)細胞と混合して,異なった超音波(1MHz,Intensity0.5-1.5W/cm2,DutyCycle10-50%,20-60seconds)を照射し生細胞率を調べた。また,同じ生細胞率(約55%)になるようマイクロバブルの濃度を調節し,超音波(1MHz,Intensity1.OW/cm2,Duty Cycle 10%,20 seconds)を照射した後,生細胞1x10^5を回収、再培養し,48時間後GFP陽性細胞率を比較した。また,生細胞1x104を回収、再培養し,15日後G418陽性コロニー数を比較した。 [結果]CHO細胞に1MHz,Intensity1,0W/cm2,DutyCycle10%の超音波を20秒照射した場合,超音波を照射してない対照群と比べて生細胞率が約10%しか減少しなかった。また,GFP陽性細胞がほとんど認められなかった。しかし,マイクロバブルを併用する場合,生細胞率がマイクロバブルの濃度依存的に減少することが認められた。また,SONAZOID使用群は超音波のみ照射の対象群と比べて高くなった。一方,SONAZOID使用群ではGFP陽性細胞率が有意に高く,バブル使用群と比べて約4倍,高くなり,G418陽性コロニー数も有意に高いことが認められた。 [結論]低浸襲性超音波はマイクロバブルの併用により遺伝子を導入することができることが判明した。また,マイクロバブルSONAZOID超音波の遺伝子導入増強効果が高いことが判明した。低浸襲性超音波とマイクロバブルの併用は安全な癌遺伝子療法として大いに期待できることが示唆された。
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