2008 Fiscal Year Annual Research Report
超音波とマイクロバブル動注療法を併用した癌性腹膜炎への効果
Project/Area Number |
18500392
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
内田 俊毅 Fukuoka University, 医学部, 助教 (00330910)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立花 克郎 福岡大学, 医学部, 教授 (40271605)
小川 皓一 福岡大学, 医学部, 准教授 (60078780)
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Keywords | 超音波 / マイクロバブル / 癌治療 |
Research Abstract |
本研究の目的は消化器癌の移植マウスに、マイクロバブル(以下MB)を持続動注して音響化学療法の作用増強効果を確認し、同時に超音波画像でモニタリングして効率的な照射方法を確立する事にある。平成20年度はin vitroの実験結果に基づいて、細胞株は大腸癌のColon26、光感受性物質はフォトフィリン(以下Pf)、MBはソナゾイドを選択し、in vivoでの超音波照射条件を検討した。当初行った1MHzの超音波では十分な殺細胞効果を得られなかったが、より低周波の47KHzで生存率の延長が認められたため同条件にして、さらにMB併用の効果を検討した。超音波モニタリングではMBの造影効果を確認でき、超音波殺細胞効果の増強効果が期待された。しかしPf+USにMBを併用した群では、コントロール(以下C)群と同じで、生存率の改善は全く見られなった。最終的にはMB投与では増強効果を得られず、MBによって引き起こされる癌細胞周囲でのキャビテーションの崩壊のエネルギー効果は、癌細胞に結合した光感受物質には全く作用しなかった。また尾静脈投与や大腿動脈動注ではばらつきも多く、対象群を増やして統計上の精度を上げることが出来なかったため、Pf、MBを腹腔内(持続)注入へ変更して実験したが、同様にMBの効果を得られなかった。しかしPf+US群はC群と比較して2倍以上の生存期間の延長(P<0.01)を認めた。これらの結果より、超音波エネルギーは直接、細胞内にキャビテーションを発生させているのではないかとの結論に達し、電顕で治療後の癌組織を確認した所、癌細胞のミトコンドリアのみが破壊されている事を世界で初めて発見した。アポトーシスの調節、エネルギー産生の場であるミトコンドリアを特異的に破壊できる事は、今後の癌治療に一石を投じる結果を導き出せたと思われる。現在、アポトーシスを含めた最終的な追加実験を行っている。
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