Research Abstract |
Wistar系雄性ラットの成熟(10ヶ月齢)・老齢(2年齢)ラットに対し、運動による足底皮膚に存在する機械受容器、末梢神経に対する影響を分析する目的で以下のとおり実施した。(1)成熟ラット,老齢ラットに対し,小動物用トレッドミルによる1日1時間の走行運動を行った.(2)本研究費で助成を受けて作成した,バランス装置を用い,1日1時間のバランス運動を行った.(3)各,実験終了後,ラット足底皮膚を摘出し,組織の採取と生化学分析を行った.(1)では,Wistar系老齢雄性ラットに対し,走行群,非走行群の2群対象とした.大学所有の小動物用トレッドミルを用い11.8m/minで1日1時間,4週間走行運動を行った.実験終了後,足底皮膚パッドを採取し,急速凍結し,ホモジナイザーにて粉砕後,total RNAを抽出した.神経栄養因子mRNAプライマーを用い,リアルタイムRT-PCR法にてmRNA発現量を検討した.走行群は非走行群と比較して,mRNA発現量に変化がない栄養因子や低下している神経栄養因子を認めた.(2)の実験では,Wistar系雄性ラット,若齢運動群,若齢非運動群,老齢非運動群,老齢運動群を対象とした.運動群は,本研究費にて作成したバランス装置上で1日1時間,4週間運動を負荷した群,非運動群は自由飼育した群とした.神経栄養因子mRNAプライマーを用い,リアルタイムRT-PCR法にてmRNA発現量を検討した.若齢群に対しては,神経栄養因子ならびにその受容体におけるmRNA発現量は変化がなかった.しかし老齢群においては,その発現量は,増加することが示唆された.本研究の結果より,足底皮膚について,加齢では,運動の程度により,神経栄養因子mRNA発現量の違いが認められた.
|