2006 Fiscal Year Annual Research Report
単純反応時間計測による立位バランス機能評価の検討〜注意能力の視点から〜
Project/Area Number |
18500418
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku Bunka Gakuen University |
Principal Investigator |
星 文彦 東北文化学園大学, 健康社会システム研究科, 教授 (40165535)
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Keywords | EMG反応時間 / 重心動揺 / 2重課題 / 立位バランス / 注意能力 |
Research Abstract |
10歳から50歳の男性健常者50名を対象に、立位課題3条件で音刺激に対するEMG反応時間を測定した。立位姿勢条件は、1)床面上での静止立位、2)1Kgの鉄アレイを胸部の高さに保持した立位、3)ウレタンフォームスポンジ(15cm厚)上立位の3条件とし、視線の高さ前方2mの直径3cmの黒丸を注視させ、立位を維持するよう指示をした。EMG反応時間は両側咬筋から表面筋電図を導出した。計測はオシロスコープにて筋電図波形を確認し、安静時を基準に筋活動開始時期を視覚的に読み取った。反応時間測定と同時に立位重心動揺を各条件30秒間計測した。重心動揺計は、アニマ社製重心動揺計測器GS-11用い、総軌跡長とRMS値を計測した。さらに反応時間計測後、ファンショナル・リーチテストによる指尖前方移動距離を計測した。結果は、反応時間は、各条件とも年齢が増すにつれて、遅延傾向が認められ、特に50歳になると遅延傾向が強かった。一方各条件間の反応時間は、一定傾向を示し、条件の違いよる特異性(反応時間遅延傾向)は認められなかった。各条件による重心動揺計測においては、条件が1)、2)、3)になるに従い、総軌跡長とRMS値は遅延し、特に条件2)と3)の条件の違いにおいては、統計的有意が認められた。ファンショナル・リーチテストによる指尖前方移動距離については年齢による特異性が認められなかった。これらのことから、健康成人においては、本実験による3条件下で立位重心動揺に明らかな特異性が認められたにも関わらず、2重課題条件における反応時間に特異性(遅延傾向)が認められないことは、歩行や日常生活活動中のバランス機能を保証する注意能力が保持されていることを示唆するものである。次年度は、被験者数を増やし結果の信頼性を強化するとともに60歳以上の健常高齢者および神経疾患を対象に各条件下での特異性の有無を明らかにすることとする。
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