2007 Fiscal Year Annual Research Report
単純反応時間計測による立位バランス機能評価の検討〜注意能力の視点から〜
Project/Area Number |
18500418
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Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
星 文彦 Saitama Prefectural University, 保健医療福祉学部, 教授 (40165535)
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Keywords | 高齢者 / 中枢神経疾患 / 反応時間 / 注意配分 / 立位バランス / 重心動揺 |
Research Abstract |
対象と方法:平成19年度は、立位3条件(基本静止立位、1Kg重錘90度上肢挙上保持、不安定マット状立位保持)における咬筋音単純反応時間計測と立位重心動揺計測を高齢者および中枢神経疾患患者(CNSDP)を対象に行った。対象高齢者の内、60歳代と70歳は春日部市内に居住し高齢者検診事業に参加した日常生活に支障のない者40名、80歳代はケアハウスに居住し生活が自立し日常外出に支障のない者13名を対象とした。CNSDP患者は、入院及ぶ外来通院中の慢性期脳卒中患者36名およびパーキンソン病2名、SCD1名を対象とした。CNSDP群の運動機能は、脳卒中患者の下肢ブルンストローム回復段階は2名が3、その他は4以上で歩行は杖もしくは独歩で自立していた。対象者には本研究の趣旨を説明し同意を得た。結果:(1)高齢者の反応時間は、年代別一元配置多重比較において、高齢になるに従い遅延傾向を示し、60歳代に比べ80歳代では有意に遅延していた。また80歳代においては、基本静止立位・重錘挙上保持・不安定マットの順で有意に遅延した。(2)高齢者の立位重心動揺は、条件別一元配置多重比較において、不安定条件で各年代とも有意に延長していた。(3)CNSDPの反応時間は、各条件間の一元配置分析では有意差が認められなかったが、全体に遅延傾向をしました。また脳卒中において、脳幹・視床・小脳の損傷群とその他の損傷群の比較では、重錘挙上保持と不安定マットの条件で脳幹・視床・小脳の損傷群に有意な遅延が認められた。パーキンソン病およびSCD患者は脳卒中患者群に比べ遅延傾向にあった。(4)CNSDPの立位重心動揺は、各条件間の一元配置多重比較で有意差が認められ、基本静止立位・重錘挙上保持・不安定マットの順で延長した。考察:80歳代の高齢者になると立位バランス維持への注意配分が大きくなり2次刺激に対する応答が遅れる。CNSDPにおいても同様の傾向を示し、特にバランス機能の低下に関連する損傷患者においては注意配分の立位バランス維持への依存性が認められた。
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