2006 Fiscal Year Annual Research Report
多様な運動・姿勢経験を元にした学齢期重度脳性麻痺児の脊柱変形予防
Project/Area Number |
18500420
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
佐藤 春彦 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (30274062)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 剛伸 国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所, 福祉機器開発部, 室長 (40360680)
岩崎 俊之 北里大学, 医学部, 助手 (70265627)
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Keywords | 側弯 / 脳性麻痺 / 理学療法 / 坐位保持装置 / 日常生活姿勢 |
Research Abstract |
学齢期脳性麻痺児に見られる側弯と日常生活における姿勢および体幹の運動性との関係を明らかにすべく、重度脳性麻痺児を対象に姿勢と体幹運動の調査を行い、以下の結論を得た。 1.重度脳性麻痺児4名を対象に、姿勢モニターを装着し、30秒ごとの姿勢の変化を24時間に渡り計測した。その結果、重度脳性麻痺児は1日のほとんどの時間を臥位で過ごし、坐位などの抗重力姿勢を取る時間は対象児のうち3名が1時間以下で、1名のみ4時間であった。側弯の程度を表すCobb角の変化を見ると、坐位姿勢の時間が長かった1名が最も少なく、抗重力姿勢を取らない3名が大きかった。この結果から、抗重力姿勢を取ることだけが脊柱側弯の進行を助長するのではないことが示唆された。 2.重度脳性麻痺児5名を対象に、体幹に加速度および角度センサーを取り付けることにより体幹運動を計測した。対象児のうち側弯を呈した4名は上肢に不随意な運動は時折見られるものの、体幹の動きはほとんど生じなかった。側弯のない1名は、四肢に不随意ながら大きい動きが見られ、体幹にも動きが波及していた。他動的に体幹を動かして回旋角度を計測すると、側弯の凸側への回旋に制限が見られた。 以上から、重度脳性麻痺児では、(1)抗重力姿勢を長く取ることが必ずしも側弯を助長しないこと、(2)不随意であっても体幹運動がある方が側弯にならないこと、(3)一度側弯が生じると体幹の可動性に左右差が生じることが示され、体幹の運動性を引き出して姿勢を変えることが、脳性麻痺児に対する側弯対策になる可能性が示唆された。 また、側弯の進行予防を目的とした坐位保持装置の設計、並びに試作機を製作した。本装置は胸郭を支えるハーネスと牽引装置を持ち、坐位時の脊柱の伸展を補助できるようになっている。今後、脳性麻痺児を対象とした適合試験や側弯に対する効果検証などを行う。
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Research Products
(1 results)