2006 Fiscal Year Annual Research Report
積雪・寒冷地域における高齢者のすべり転倒防止・ダメージ軽減システムの開発
Project/Area Number |
18500431
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 聡一郎 北見工業大学, 工学部, 助教授 (30250541)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳 等 北見工業大学, 工学部, 助教授 (60344553)
山本 憲志 日本赤十字北海道看護大学, 看護学部, 助教授 (70299329)
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Keywords | 高齢者 / すべり転倒 / 転倒回避 / 転倒ダメージ軽減 / エアバッグ / 胸部加速度 / 外踝加速度 |
Research Abstract |
今年度の研究項目は転倒を回避する動作の解析と検知システムの改良に重点を置き、転倒ダメージ軽減のみならず転倒を防止する機能を確立するとともに、次年度の性能評価実験を見据えた装置の改良を実施した。 これまでに、すべり転倒動作は「後方転倒」「側方転倒」「逆側方転倒」の三つのパターンに分類できることを明らかにした。このうち「側方転倒」については、被験者に対する危険が多いため転倒動作の詳細を解析するのに十分なデータが得られていなかった。そこで今年度は、被験者の安全を確保するケージを製作し、動作解析を実施した。その結果、「側方転倒」と「逆側方転倒」のパターン識別においては、胸部加速度の情報だけでは識別できないことを明らかにした。 また回避動作のメカニズムを、フォースプレートで計測する床反力、ならびにVICONモーションキャプチャシステムで計測した関節運動との関係から明らかにした。エアバッグが高齢者のすばやい転倒回避動作を誘発することを目標としているため、この実験では転倒動作解析とは異なり高齢者疑似体験キットを用いずに成年男子のデータをそのまま解析することとした。関節運動と床反力の変化を計測するとともに、胸部の加速度変化をデータレコーダーでリアルタイム計測することで、基本的には転倒回避動作は、床-足裏間の静止摩擦抵抗を回復する動作であることを明らかにすることができた。 さらに転倒動作解析結果より、胸部加速度の情報だけでは「側方転倒」と「逆側方転倒」を識別できないという結果が得られたため、転倒検知システムの改良を実施した。転倒パターンが三種類に大別されるということは、エアバッグで脚部の転倒回避動作を誘発する場合、最低三種類の膨らみ形状が必要だということにほかならない。そのため、転倒パターンが正確に識別できなければ有効な転倒防止が不可能になる恐れがある。そこで胸部加速度の変化だけでなく、運動方向と速度を早い段階において検出する必要がある。これまでに利用してきた胸部加速度変化に加え、外踝加速度の情報を得ることで、パターン識別が可能となることを明らかにし、識別アルゴリズムを構築した。最終的に、実用化を考慮してこれまで用いてきた転倒検知システムを、マイクロコンピュータを利用した小型の転倒検知・識別システムへの改良を進めた。
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