2007 Fiscal Year Annual Research Report
脳内知覚情報伝達経路の分析による認知と身体運動制御との関連の検討
Project/Area Number |
18500452
|
Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
勝又 宏 Daito Bunka University, スポーツ・健康科学部, 准教授 (40398350)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今中 國泰 首都大学東京, 公私立大学の部局, 教授 (90100891)
|
Keywords | 脳高次機能学 / 運動制卸 / 知覚-運動連関 |
Research Abstract |
身体運動によって運動課題を達成するしくみを解明には、如何にして知覚情報をもとにして動作の組織化が行われるのかについて理解する必要がある。本研究では、標的物に手を伸ばして捕捉する(Grasping)動作および、標的物の大きさを判断し同様の手指関節運動によって表示する(Matching)動作を、単純な円形の標的物あるいは、Ebbinghaus錯視を誘発する同様の標的物に対して遂行する場合の、視覚情報に基づいて手指関節運動による動作が形成される過程の大脳皮質レベルの活動の特徴を捉えることを試み、認知的情報処理が視覚情報に基いて動作が組織化される過程への関与について検討した。被験者10人がGrasping課題およびMatching課題をそれぞれ80試行遂行中の脳波および手指関節角度変化を計測し、課題動作開始時点前後に対する脳波に関して、Event-related synchronization/desynchronization(ERS/ERD)分析を行った。 Grasping動作、Matching動作ともに同様の視覚刺激に対して同様の手指関節運動を産出するのだが、大脳皮質の活動を示すERDは、この視覚情報処理と関節運動の産出に関与する部位(視覚野・体性感覚野・運動野)に見られた。さらに、Grasping課題では後頭葉に皮質の活動の抑制を示すERSが見られた。Matching課題では標的の大きさを判断するという認知的情報処理が関節運動産出に介在するのに対して、Grasping課題の遂行には認知的情報処理が必ずしも必要でないことから、このERSは認知に関連した脳内情報処理の抑制と関与することが示唆された。以上の結果については、2007年8月、Santos(Brazil)にて開催された運動制御の国際学会にて発表するとともに、論文を国際学会誌に投稿中である。
|
Research Products
(5 results)