2006 Fiscal Year Annual Research Report
両手を用いた運動学習 ー両手・片手運動によって獲得される内部モデルの違いの解明ー
Project/Area Number |
18500456
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野崎 大地 東京大学, 大学院教育学研究科, 助教授 (70360683)
|
Keywords | 運動制御 / 運動学習 / リーチング運動 / 脳内過程 / 運動野 / 小脳 |
Research Abstract |
本年度の成果は以下の二つである。 1.リーチング運動時に、ロボットアームを用いて手先の速度に依存した力場を腕に課す。そのときの力場への適応過程を調べ、以下の結果を得た。実験遂行にはクイーンズ大学のスコット教授の協力を得た。 ・左手だけで(すなわち片手で)獲得した力場への適応度合い(学習効果)は、両手を同時に動かすときの左手には60-70%しか活用されない。他方、同じ左手への力場を、同時に右腕を動かして(両手で)獲得したときの学習効果は、左手だけを動かすときには60-70%程度しか活用されない。なお、右手で力場を学習した場合も同様な結果が得られた。 ・左手だけで力場を学習した後、力場を切った状態で両手リーチング運動を行う(ウォシュアウト試行)と、左手は学習効果を忘れ去っているかのように振る舞う。ところが、この状態でも片手モードの左手はなお学習効果を保持していた。 ・標的の色などをキューとして、方向の異なる二つの力場に同時に適応することは非常に困難だとされている。ところが、片手運動時には右向きの力場、両手運動時には左向きの力場をかけることによって、同じ左手が二つの力場に同時に適応できることを示した。 ・これらの結果は、「片手運動と両手運動では同じ腕の運動学習に関わる脳内過程が一部異なっている」という我々の仮説を支持するものである。両手運動における左手(右手)の運動は、外見上、片手運動時の左手(右手)の運動と同一であるが、運動学習という観点からみるとこのように大きく異なっているのである。 2.二つのハンドルを備えたマニピュランダムと、ハンドル位置に変換を加えてディスプレイ上に呈示するプログラムを作成した。このシステムにより、視覚情報に変換を加えたときの適応過程を調べることが可能である。次年度は力場を学習する課題と同様な結果が、この視覚情報変換課題でも得られるかどうかについても検討する。
|
Research Products
(2 results)