2006 Fiscal Year Annual Research Report
運動文化の伝承を支えるキネステーゼアナロゴン抽出の試み
Project/Area Number |
18500458
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
石田 譲 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (90113654)
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Keywords | 運動文化 / キネステーゼ |
Research Abstract |
本研究は、文化として、その価値が認められてきた運動財について、より系統的、段階的に伝承するための方法を構築することが大きな目的である。この運動文化の伝承を支えるのはキネステーゼ世界の出来事であり、これをできるだけ表の世界に出しながら、整理していくことが重要になる。また新たな動きを体得する際には、今持っている自分のキネステーゼ体系の中でその新たな運動と「感じが似た動き」を見つけ出すことが必要になる。その自分が今対応できる「感じが似た動き」が「キネステーゼアナロゴン」であり、それを抽出し、用意することにより、動きの移しが可能になっていくのである。 このような観点から、平成18年度は比較的運動経験の少ない小学校児童を対象とし、日常的な動きにはないような逆さを経過するような運動を取り上げ、運動が発生するまでの道程を分析することに努めた。その際、当該の運動に関する技術・構造情報をまず明らかにし、その情報を学習者自身の「私のコツ」として理解されるためには、どのような動きの感じとしてのキネステーゼアナロゴンが抽出できるのか、このアナロゴンはどのような学習者には向いているのか等について考察を加えた。その後実践の場面で、実験的に運動発生まで持ち込む試みをした。その結果、ここで抽出された運動例はキネステーゼアナロゴンとして、実践例での出来事を成立させるためのものとして定立するものと考えられた。ここに抽出されたアナロゴンを、さらに他の学習者に提供していくことにより、いっそう確かなものとなり得るであろう。 これら一連のキネステーゼ世界の出来事や運動発生に関わる現場での出来事は、平成18年度日本スポーツ教育学会において発表した。
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