2007 Fiscal Year Annual Research Report
運動文化の伝承を支えるキネステーゼアナロゴン抽出の試み
Project/Area Number |
18500458
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
石田 讓 Hokkaido University of Education, 教育学部, 教授 (90113654)
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Keywords | 運動文化 / キネステーゼ |
Research Abstract |
本研究は、文化としての価値ある運動財を、より合理的に伝承するための方法を呈示することが目的である。その文化の伝承を支えるのはキネステーゼ体系における感覚世界の出来事であり、これらを表に出しながら、整理していくことが本研究の目的である。そして、それぞれの運動財を享受するためには、より善い動きや新たな動きを獲得するための営みが合理的に行われていくことが重要であり、そのためには運動する本人のキネステーゼ体系の中で、その新たな運動と「感じが似た動き」を見つけ出すことが必要となる。このような、自分が今対応できる「感じが似た動き」が「キネステーゼアナロゴン」であり、それを抽出し、用意することにより、新たな動き獲得のために必要な動きの移しが可能になっていくのである。 このような観点から、平成19年度については特に学校現場での、特に低学年児童を中心に、運動がまだ未分化である状態から分化しつつある道程を観察し、資料として収集してきた。投の運動に関する実践例は一部論文としてまとめ発表してきたが、自分で動く世界や周界と自分との関係で動く世界での動きを理解するためには、もう少し運動する本人の世界に潜入する必要があり、今後更にこの問題を解決するための検証を進める必要がある。またこれまで様々な運動を伝承するためには、ある程度共通の「動きの素」を体系化できないかという問題意識を抱いてきたが、カンやコツ或いは感覚構造、図式技術と本研究の骨子であるキネステーゼアナロゴンの抽出とが、運動伝承を巡り具体的な運動に関し体系化できたときに、現場への還元ができるであろうということを、これまでの成果としてまとめつつあるところである。
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