2006 Fiscal Year Annual Research Report
セルフ・マネジメント能力の育成を目指した小中9年一貫の保健体育カリキュラムの作成
Project/Area Number |
18500463
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
中 比呂志 Kyoto University of Education, 教育学部, 准教授 (00217639)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榎本 靖士 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (90379058)
薮根 敏和 京都教育大学, 教育学部, 教授 (10166572)
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Keywords | 保健体育 / カリキュラム / 小中9年一貫 / セルフ・マネジメント |
Research Abstract |
京都教育大学附属京都小学校の男子児童282名、女子児童287名、附属京都中学校の男子生徒172名、女子生徒194名の合計935名を対象に、文部科学省新体力テスト、基本的生活習慣調査を実施した。また、小学1-4年生に運動有能感を、小学5-6年生に対して運動意欲調査(MIPE)、中学生に対してはMIPE及びスポーツ条件調査を実施した。 体格・体力に関しては、男女とも学年とともに発育発達する傾向を示した。しかしながら、体力に関して全国平均値と比較すると、小学校低学年では大きな違いが見られなかったが、学年の進行に伴い、全国平均よりも劣る傾向が見られ、体力要素の全身持久力や敏捷性、基本的運動能力の投能力において特に大きな違いが認められた。 運動有能感に関しては、「身体的有能さの認知」、「統制感」及び「受容感」において学年の進行とともに低下する傾向が認められた。性差に関しては、受容感に関して女子が男子よりも高い値を示した。運動意欲に関して、学年間の比較では、男女とも小学5年生から6年生にかけて大きく低下する傾向を示し、その後は概ね維持される傾向にあった。また、男子では運動・スポーツに自信があり、「勝ちたい」「うまくなりたい」「体を動かしたい」といった欲求が強く、女子では仲間との協力や楽しみへの欲求が強い傾向にあった。 スポーツ条件については、男子が仲間、時間、場所及び指導者などの条件に女子よりも恵まれていると考えられた。男女とも運動に対する自信、自己有能感を示す自己概念や体を動かしたいという基本的欲求、運動やスポーツに対する失敗を回避しようとする失敗回避(得点が小さいほど失敗回避傾向が強い)がスポーツ活動時間に正の影響を及ぼしていた。また、男子では「他の人よりじょうずになりたい」「勝ちたい」という競争欲求が強い生徒や、仲間との協力や活動に楽しみ、喜びを感じることを求める親和欲求が強い生徒では、スポーツ活動に対して、より積極的であることが明らかとなった。一方、女子では現在のスポーツを行うにあたっての仲間や活動のための時間などの条件がよい生徒ほど、スポーツ活動時間が長い傾向にあった。中学生におけるスポーツ活動を促進するためには、小学校からの体育授業などを通して子どもたちに「できる喜び」を体験させ、運動やスポーツに対する自信や自己有能感を高めておくことが重要であると考えられた。
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