2008 Fiscal Year Annual Research Report
スポーツにおける卓越した「才能」獲得メカニズムの質的分析
Project/Area Number |
18500471
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
北村 勝朗 Tohoku University, 大学院・教育情報学研究部, 教授 (50195286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
生田 久美子 東北大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (80212744)
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Keywords | スポーツ / 卓越した才能 / 指導的かかわり / 質的研究 / 熟達化過程 |
Research Abstract |
スポーツ領域における卓越した「才能」は, 従来においては生来の素質や遺伝的要因によって説明されることが多く, 才能育成においては早期発掘といった発想で研究されることが多かった。しかしながら本研究では熟達化の視点から, どのような環境の中で, どのような体験を経て, どのようにその卓越したパフォーマンスを獲得していったのか, について遡及的に明らかにすることにより, スポーツにおける才能育成に向けた新たな提言を行うことが目的である。 最終年度である今年度は, 熟達化過程全体の中に指導者による指導的かかわりと学習者の技能習得過程に焦点を当て, 熟達化と才能獲得との相互関係についての分析作業を実施した。得られた知見として次の点があげられる。すなわち, スポーツにおける卓越した「才能」獲得過程は, 注意深く組み立てられた練習(deliberate practice)の蓄積と同時に, 指導者による指導的かかわりといった相互作用を通して形成されていく過程である点である。具体的には, 選手の熟達化段階や個性に応じた指導的かかわりを通して, 技能をとりまく文化・社会的価値, や運動の文脈といった幅をもった学習が蓄積されている点があげられる。そこでは選手との信頼関係の構築といった, 指導が有効に作用するためのしかけづくりとしての環境設定が前提となっている。選手の卓越した「才能」は, 選手個人に閉じて獲得され蓄積され再現されるといった発想で捉えるのではなく, 選手をとりまく環境との相互作用として開かれた過程の視点でとられることが重要である。この点が解明されたことが本研究のひとつの成果としてあげられる。
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Research Products
(5 results)