2008 Fiscal Year Annual Research Report
動きの変容がもたらす身体の認識力と自己教育力の変容
Project/Area Number |
18500476
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
筒井 清次郎 Aichi University of Education, 教育学部, 教授 (00175465)
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Keywords | 身体の認識力 / 自己教育力 / 動きの変容 / 運動有能感 / 両手協応課題 |
Research Abstract |
本研究の目的は、学習者が習熟していく過程で、なかなか学習が進まない時、ようやく困難な課題を習得できた時、次の課題で再び学習が進まない時、それぞれの時期における運動有能感の変遷を明らかにすることである。 すべての学習者にとって、初めて課題に向き合った時には習得できず、かつ、時間をかけることによってすべての学習者が習得でき、なおかつ、その学習過程が、質的にも、量的にも数値化できる課題の設定が最も重要である。本研究では、両手協応課題の1/4周期の位相のズレを課題とした。この課題では、前述した前提が可能であることが、先行研究(Tsutsui et al, 1998)において確認されている。 対象者は、体育専攻の大学生及び大学院生とした。彼らは、一般の学生に比べて、運動有能感が既に高いことが予想される。 結果、1.学習が進まない時基本的に高い運動有能感を有している彼らにおいても、学習が進まない経験を継続することによって、運動有能感の低下が見られた。 2.困難な課題が習得できた時当然のように、運動有能感の向上が見られた。 3.次の課題において再び学習が進まない時運動有能感の低下が予想されたが、最初の時ほどの低下が見られなかった。 考察一度、失敗の連続後に成功することによって、運動有能感を高めることができると、2度目の失敗の連続によっても、運動有能感の低下は大きくなかった。このことは、体育場面等で児童・生徒が有能感を高めることができれば、以後の体育場面に限らず、他の生活場面において失敗を経験しても、有能感を維持し前向きに課題が取り組めることを意味している。ここに、体育という教科が果たすべき一つの重要な側面が示されたと考えられる。
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Research Products
(3 results)