2006 Fiscal Year Annual Research Report
スポーツ指導者の経験知および比喩的表現の物理量への変換と情報化
Project/Area Number |
18500482
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松尾 知之 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (00209503)
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Keywords | スポーツ科学 / バイオメカニクス / 実験心理学 / 人工知能 / 経験知 / 投球動作 |
Research Abstract |
本研究は、経験豊富な運動指導者の培った経験知を体系的に調査・抽出し、それをビデオ映像やコンピュータ・グラフィックス(以下、CG)等を利用して伝達するという新しいタイプの指導者支援システムを構築する基礎資料を得ることを目的とした。 平成18年度は、実際の投手の投球映像に対する解説の実施およびCG映像を使った心理実験を行った。投球解説及び心理実験の対象者は、経験豊富な指導者11名で、1対1の面談方式によって実施した。投球解説は、中学生から大学生までの投手のビデオ映像に対して、2回行った。 第1回目の解説分である約900件のコメント分を分析した結果を部位別に集計すると、投球腕に関するコメントが24%、次いで体幹全体に関するコメントが16%、踏み出し脚12%となった。投球腕に関するコメントの上位は、テイクバック時の肩の外転角と肘の屈曲角に起因する手の位置に関するコメントが37件、肩の外転角に起因する肘の位置に関するコメントが28件であった。この結果を参考に、テイクバック時の肘の角度を変えた2つの異なるCG投球映像25ペア、および肩の外転角を変えた2つの異なるCG映像16ペアを作成し、3件法にて良否を判断する心理実験を、2回目の投球解説とともに実施した。 心理実験の結果、テイクバックの終了時に肘の角度を鋭角(60°〜80°)に保った方が良いと判断しており、90°を超えると急激に選好度が下がることがわかった。また、肩の外転角に関しては、ボールリリース時に110°や130°の投球動作が、70°や90°の投球動作に比べてかなり選好度が高く、両者ともに同程度であった。一方、90°の場合には110°や130°の投球動作の半分程度、70°の場合には、5分の1以下であった。
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