2007 Fiscal Year Annual Research Report
イギリス学校体育の組織的ゲームとゲーム活動教材に関するスポーツ史的研究
Project/Area Number |
18500487
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
榊原 浩晃 Fukuoka University of Education, 教育学部, 教授 (50255220)
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Keywords | イギリス / 学校体育 / ゲーム活動 / 教材 / 運動場 |
Research Abstract |
本研究は、20世紀初頭イギリスの初等学校における課外活動としての組織的ゲーム(以下、課外ゲーム活動という)の実施と体育授業におけるゲーム教材の選定の事情を明らかにすることを研究目的とした。その際、第1に研究の視座として重視するのは、1902年、1904年、1909年、1919年、及び1933年の5回にわたる体育の指導要目(シラバス)の改訂の歴史的経緯を政策的に跡づけること、第2に、20世紀初頭に至る時代にイギリスのスポーツやゲーム(民族的・伝統的ゲーム活動)が学校体育に与えた影響を考察することを主眼とした。第1の主眼については、Inter-Departmental Committee on Physical Deterioration(1904)における体力低下問題とその後の政策策定の経緯から、20世紀初頭イギリスにおける学校体育政策の特徴を明らかにした。ボーア戦争時の志願兵の体格が劣悪であったという軍関係者の指摘から急きょその対策が求められていた。労働者階級も教育要求綱領の中で体力低下問題への対処を求めていた。学齢期児童の健康や体力の向上の課題は、学校給食や身体検査の実施と共に、体育授業の実施をも包括した学校医療事業の一環として位置づけられ、教育院医務局(Medical Department、Board of Education)の所掌となった。体育授業の内容の改善(ゲーム教材への着目)、体育授業担当の教師の養成と資格付与、学校運動場の設置基準の策定(課外ゲーム活動実施場所確保の模索)などは学校体育政策として国家関与の徴候とみることができた。第2の主眼については、民族的・伝統的ゲーム活動の一端として重視されるGrasmere Sports Competitionの20世紀初頭までの経緯を主として、陸上競技種目やその他の民族的運動を中心に考察した。
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Research Products
(2 results)