2006 Fiscal Year Annual Research Report
戦前の体育・スポーツにおける性差認識の構築に関する研究
Project/Area Number |
18500494
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
來田 享子 中京大学, 体育学部, 助教授 (40350946)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田原 淳子 国士舘大学, 体育学部, 助教授 (70207207)
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Keywords | 戦前 / 体育・スポーツ史 / 性差認識 / 女性スポーツ / スポーツ雑誌 / ジェンダー |
Research Abstract |
平成17年度に行った史料収集とその分析は、主として以下の4点にまとめられる。 (1)雑誌2種「アスレチックス」「体育と競技」を対象とし、1920年代の女子スポーツ奨励論に絞って記事を収集した。 (2)著者の所属カテゴリーを(1)医学関係者、(2)教育現場・教育行政関係者、(3)スポーツ組織者・指導者、(4)その他とし、この分類に沿って記事を整理した。 (3)整理した記事について、カテゴリー別に語彙の分析を行った。この分析結果にもとづき、研究計画段階で仮説としていた記述のキーワードの見直し作業を行った。 (4)性差の認識がどのように記述されているかを明らかにするため、記事の言説の図化を試みた。記事全体の主張内容とともに、性差に関する言説がどのような主張と関連し、どのような内容で記述されたかが明示されることを目指した。 上記の結果、以下の2点が明らかになった。 (1)平成17年度の分析終了階におけるキーワードは、(1)身体(体格、筋肉等11語)、(2)パフォーマンス(筋力、スピード等12語)、(3)生殖(生殖器、母体等5語)、(4)社会的性差(心理)(性格、性情等9語)、(5)美(身体美、女性美等7語)、(6)社会的役割(母、妻等8語)の6つの語彙群となった。 (2)言説の図化により、以下の4つの特徴が明らかになった。(1)記事のすべてが男性の身体との比較によって女性の身体を表象する言説を含んでいた。男性のスポーツを奨励する論には、こうした言説はみられなかった。(2)女性の身体に関わる言説と女性の体育・スポーツ奨励論は、論理的に直結していない例が多くみられた。記事が奨励している内容は男性とは別の「何か」スポーツ的な活動を実施することであることが読み取れた。(3)いずれの言説においてもスボーッ実施者の個々の身体への着目はなされず、どちらか一方の性に属する身体が実施する「スポーツ」が想定されていた。
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