2007 Fiscal Year Annual Research Report
戦前の体育・スポーツにおける性差認識の構築に関する研究
Project/Area Number |
18500494
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
來田 享子 Chukyo University, 体育学部, 准教授 (40350946)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田原 淳子 国士舘大学, 体育学部, 准教授 (70207207)
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Keywords | 戦前 / 体育・スポーツ史 / 性差認識 / 女性スポーツ / スポーツ雑誌 / ジェンダー |
Research Abstract |
昨年度の研究によって、記述の分析は雑誌記事一つに対し、1.言説を図化することにより文脈の整理を行い、記事内部の理論を明らかにすること、2.使用されている語彙の数や偏向からキーワードを確定すること、およびそれらキーワードの相互関係、という2面から行う必要が明らかになった。今年度は、この結果にもとづき、「女性スポーツ特集」などの特集が組まれ1冊の中で集中して関連する記事が見られる雑誌を対象に分析を行った。具体的な分析対象としては、1920年代の女性スポーツ奨励論が最もまとまって掲載された雑誌のひとつである「體育と競技-婦人體育号」(T11年10月発行)」を選択し、上述の2側面からの分析を行った上で、以下の4つの観点から考察を深めた。1.この時期の女性スポーツの状況と奨励論の位置づけ、2.奨励論に記された両性の身体的・社会的役割の違い(性差認識)の具体的事例とその内容的特徴、3.前記2と奨励する教材としてあげられた競技の内容との関連、4.自然科学系高等教育分野への女性の参入を事例とする非体育・スポーツ領域における性差認識との比較。 注目すべき考察結果として、第一に、奨励論における性差認識には(1)体育・スポーツが積極的影響を与える差異、(2)体育・スポーツが消極的影響を与える差異、(3)積極的影響を与えるが影響を一定程度に抑制すべき差異、(4)体育・スポーツが影響を与えることはできない差異があり、これらを部分的または複合的にとりあげながら奨励論や奨励する競技種目・動作が教材として構成されたことが明らかになった。第二に、非体育・スポーツ領域における性差認識の分析結果では、身体的差異の記述はほとんど見られず、記述対象を「女性カテゴリー」から除外するという、体育・スポーツ領域にはみられない論理が存在したことが明らかになった。
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Research Products
(2 results)