2009 Fiscal Year Annual Research Report
スポーツ選手の喫煙が短時間最大運動及び回復期の自律神経調節能に及ぼす影響
Project/Area Number |
18500508
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
橋爪 和夫 University of Toyama, 人間発達科学部, 教授 (80189472)
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Keywords | 禁煙 / スポーツ / 自律神経調節能 / 短時間最大運動 |
Research Abstract |
1.本研究の目的は,禁煙が短時間最大作業時及びその回復期に及ぼす影響を自律神経系の調節機能の観点から明らかにすることであった。本年度は、喫煙者が1週間禁煙した場合の自律神経機能の変化を検討した。 2.運動習慣があり喫煙習慣のある男子大学生N.H.(22歳,169cm,71kg)とY.A.(22歳,169cm,66kg)の被験者について報告する。被験者は朝8時に朝食を摂り、9時から肺機能検査を行った。10時にタバコを1本喫煙して自転車での準備運動(1KP)後に、無酸素的最大パワー作業を行った。被験者は、体重の7.5%のキロポン負荷(4KP)で10秒間の最大作業、2分間の安静休息、また、10秒間の最大作業(6KP)、2分間の安静休息、さらに、10秒間の最大作業(8KP)とその後の安静休息をした。右手薬指先端より採血した血液により血糖値と乳酸値を測定した。心電図から自律神経系活性解析システム(大日本製薬)により心拍数とRR間隔変動高周波成分HF(0.15-2.0Hz)を求めた。実験中は連続的に酸素摂取量と二酸化炭素排出量を計測した。1週間の禁煙後に同様の実験を行った。 3.禁煙によりN.H.の肺活量は3.09Lから4.03Lに、Y.A.のそれは5.26Lから5.64Lに増加した。その他の肺機能指数も向上した。空腹時血糖値は変化しなかった。禁煙後の1KPの準備運動後に両名の心拍数は増加し、血糖値は低下した。禁煙により運動後の脈圧(収縮期血圧と弛緩期血圧の差)は増大した。短時間最大運動直後の気分において、N.H.は吐きそうになるほどの状態を呈し、一定の傾向は示されなかった。しかしながら、運動後10分間後においてN.H.の乳酸値(mmol/dl)は12.9から10.9に、Y.A.のそれは13.2から11.8に低下し、禁煙後の気分においても改善がみられ水やスポーツ飲料を欲する体調に速く回復した。4.1週間の禁煙は心肺機能の改善をもたらし、短時間最大運動後の血圧と乳酸値の改善や気分の改害をもたらす。このことから、禁煙により自律神経調節能が改善されたことが示唆されると考えられる。
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