2006 Fiscal Year Annual Research Report
身体運動におけるミラーニューロンシステムに関する研究
Project/Area Number |
18500510
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
船瀬 広三 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 教授 (40173512)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田平 隆行 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (50337432)
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Keywords | ミラーニューロンシステム / 身体運動 / 経頭蓋磁気刺激法 / 観察と模倣 / 運動イメージ |
Research Abstract |
平成18年度は、ミラーニューロンシステム(MNS)が関与すると考えられるミラーボックス(MB)使用時の手指筋の運動誘発電位(MEP)の変化、および体性感覚誘発電位(SEP)の変化について検討した。併せて、音読課題とMNSの関連についても検討した。 (1)右利き健常被験者を対象とし、左示指の屈曲・伸展、または左手関節の屈曲・伸展動作を行わせ、安静状態の右第1背側骨間筋(FDI)、および右腕橈側手根屈筋(FCR)からMEPを記録した。動作観察条件は直接観察条件と、MBによる間接観察条件とした。その結果、いずれの条件もMBの有無に関わらず、安静対象条件に比較してMEP振幅値は有意に増大した。また、動作の主働筋から記録したMEP振幅血が有意に増大した。SEPの結果もMEPの結果を支持するものであった。したがって、他者の動作観察における先行研究の報告と同様に、自己動作の観察課題においてもMNSが関与している可能性が示唆された。しかし、MBの有用性については障害者での検証の必要性が示唆された。 (2)右利き健常被験者を対象とし、発声音量の異なる言語課題、および音読課題と同程度の咬筋EMG量条件下において、左右のFDIからMEPを記録し安静対象条件と比較した。通常会話程度の発声音量では、先行研究の報告と同様に、右FDIのMEPが有意に増大した。しかし、発声音量が大きい条件では、FDIのMEPは両側性に有意に増大した。この変化は咬筋EMG量に依存していなかった。したがって、「言語-運動系」においては、「利き手と言語優位脳の関連」や「発声関連筋群からの求心性入力の賦活」等とは異なるメカニズムとしてMNSが関与している可能性が示唆された。 以上の結果を踏まえ、平成19年度は当初の予定通り、複雑な動作であるジャグリングのVTR提示条件での動作イメージ想起中のFDI・MEPの変化を、VTR提示無し条件と比較検討する。併せて、単純な動作であるボール把握のVTR提示を行い、両VTR条件の違いによるMEP振幅値変化を検討する。
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