2007 Fiscal Year Annual Research Report
身体運動におけるミラーニューロンシステムに関する研究
Project/Area Number |
18500510
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
船瀬 広三 Hiroshima University, 大学院・総合科学研究科, 教授 (40173512)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田平 隆行 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (50337432)
|
Keywords | ミラーニューロンシステム / 身体運動 / 経頭蓋磁気刺激法 / 観察と模倣 / 運動イメージ |
Research Abstract |
(1)前年度の実験に参加した健康な右利き健常被験者7名を対象とし、他者の音読課題の遂行の様子を撮影した映像を提示し、その映像の観察条件、および同じ音読課題を自ら遂行する条件中に第1背側骨間筋(FDI)から運動誘発電位(MEP)を誘発し、コントロール条件と比較した。音読条件では前年度の結果同様、左右のFDIから誘発したMEPの増大が観察された。また、他者の音読課題映像の観察条件においてもFDIのMEPは増大した。これらの結果は、音読課題時の手指筋を支配する皮質運動野の興奮性増大の機序として、他者の音読課題観察中に賦活するブローカ野-運動野から成るミラーニューロンシステム(MNS)の影響を示唆しているものと考えられる。(論文投稿中) (2)身体運動におけるMNSの役割についてさらに検討するために、他者の複雑動作(3つ玉ジャグリング)の映像提示の有無による皮質脊髄路の興奮性変化を観察した。課題動作は3つのボールを両手を使って連続的に投げ上げ続ける課題で、初心者には困難な複雑動作である。実験では、この映像を被験者の眼前約3mのスクリーンに投影し、被験者(健常成人7名)はこの映像を見て動作イメージを行う条件(real)、同じ動作であるがボールを使用せず手だけを動かしている映像を見て動作イメージを行う条件(fake)、映像提示無しでの自己動作イメージ条件(self)におけるFDIおよび母指対立筋(OP)のMEPの変化を観察した。その結果、両筋ともreal条件によってMEPは最も増大した。MEP増大の程度はself条件、ついでfake条件であった。つまり、実際にボールを扱っている映像提示が最も運動野の興奮性を増大させ、併せて実際にボールを扱っている動作イメージの重要性が示唆された。これらの結果は、MNSが他者の意味のある動作の観察時に賦活するという報告を支持するものである。また、被験者数が少なく結論には至っていないが、課題動作の既習得者では映像提示によってMEPの増大は観察されず、課題動作の習得の有無によって効果が異なることが示唆された。
|
Research Products
(9 results)