2007 Fiscal Year Annual Research Report
過剰運動時に漏出するミオグロビンにより生成する脂質由来ラジカルの検出とその同定
Project/Area Number |
18500519
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
熊本 和正 Kinki University, 健康スポーツ教育センター, 准教授 (50225231)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩橋 秀夫 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (50145926)
岸岡 史郎 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (60137255)
平井 富弘 大阪大学, 大学教育実践センター, 准教授 (70020104)
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Keywords | 横紋筋融解症 / 急性腎不全 / ミオグロビン / ラジカル / 脂質過酸化 / スピントラッピング / EPR / ミクロソーム |
Research Abstract |
Mbの腎毒性のメカニズムを明らかにするために牛腎ミクロソーム/NADPH反応溶液中のフリーラジカル生成に対するミオグロビン添加の影響について検討した。 牛腎ミクロソームにスピントラップ剤4-POBN、NADPH、Mbを添加し、37℃で60分間反応後、電子常磁性共鳴スペクトル(EPR)測定した。完全反応溶液のEPRスペクトルを測定すると、トリプレット・ダブレットからなる典型的な4-POBNラジカルアダクトの顕著なEPRシグナルがみられ、反応溶液中にフリーラジカルが生成していることが明らかになった。この反応溶液より、ミクロソームあるいはNADPHを除くと、EPRシグナルがほとんど見られなかった。一方、Mbを反応溶液から除くと、EPRシグナル強度が減少した。完全反応溶液にEDTAを添加するとEPRシグナルが消失し、Mb溶液にEDTAを添加しても可視吸収スペクトルに変化がないことから、EDTAはMbのヘム鉄にキレートしないことがわかった。以上のことから、この反応にフリーな鉄イオンの関与が示唆された。 過酸化脂質からのフリーラジカルの生成に対するMbの影響を検討するために、リノール酸と大豆リポキシゲナーゼとの反応により13-ヒドロペルオキシドを得た。この13-ヒドロペルオキシドとMbとの混合溶液にスピントラップ剤4-POBNを添加しEPRスペクトルを測定した。Mbを添加することにより、顕著なEPRシグナルが観測され、Mbは13-ヒドロペルオキシドからのフリーラジカルの生成を触媒することがわかった。 以上のことから牛腎ミクロソーム/NADPH反応溶液中においてMbは過酸化脂質からのフリーラジカルの生成を促進することにより腎毒性を発揮する可能性が示唆された。また、この反応にはフリーな鉄イオンの関与も示唆された。 なお、本研究の内容は第80回日本生化学会大会にて発表した。
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