2007 Fiscal Year Annual Research Report
中高年登山者のための医学的ガイドライン作成に向けた基礎的研究
Project/Area Number |
18500537
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
加藤 義弘 Gifu University, 大学院・医学系研究科, 助教 (10313876)
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Keywords | 登山 / 中高年 / 高血圧 / 生活習慣病 / 運動習慣 / 降圧薬 / 高山病 |
Research Abstract |
登山者の高齢化が進んでおり、高血圧、高脂血症や糖尿病などの慢性疾患を治療中の者も少なくない。そこで(1)奥穂高岳(3190m)登山者を対象とした血圧測定と(2)御嶽(3019m)登山を対象として血清脂質などの血液検査を行った。 (1)奥穂高岳登山者のうち、特に高血圧治療中の登山者の血圧の変化について検討した。平成18年と19年の8月に横尾山荘(標高1600m)宿泊者で翌日穂高岳方面の登山予定者に協力を依頼し調査を行った。50歳以上94名(男性41名、女性38名)の結果について検討した。調査は、健康状態に関するアンケート調査に加え、血圧・脈拍・経皮的酸素飽和度の測定を行った。翌日、穂高岳山荘(標高2996m)到着後、同様の測定を行った。94名のうち14名が高血圧のため降圧剤内服中であった登山前後での血圧・脈拍の変化をみると、両群ともPRは上昇し、H群ではSBPが有意に低下、C群ではDBPが有意に上昇した。高所環境下では血圧は上昇すると言われている。しかし、奥穂高岳登山者を対象とした本研究では、高血圧疾患治療中の登山者では血圧の上昇はみられず、むしろSBPが低下していた。 (2)御嶽登山者を対象とした血液検査結果では、登山前後では登山前後の血液検査所見は、血清ナトリウム、遊離脂肪酸、HDLコレステロール、AST、ALT、CK、BNP、白血球数は有意に上昇し、血清カリウム、中性脂肪、ヘモグロビン、ヘマトクリット値は有意に低下した。 生活習慣病をもった登山者であっても、きちんとコントロールされていれば国内3000m級の登山は可能であると考えられた.
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