2006 Fiscal Year Annual Research Report
新しい健康指標確立に向けた皮膚ガス一酸化窒素測定の試み
Project/Area Number |
18500539
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 宏 名古屋工業大学, 工学研究科, 助教授 (10203168)
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Keywords | 皮膚ガス / 一酸化窒素 / 再現性 / 自動サンプリング装置 |
Research Abstract |
今年度は、ヒトの皮膚表面から放出されるガス、すなわち皮膚ガス中の一酸化窒素(Nitric oxide ; NO)濃度を高感度な化学発光検出器を用いて測定し、安静における皮膚ガス中NO濃度の再現性を確かめることを目的とした。また、試作したガス自動サンプリング装置を用いて採集した皮膚ガスサンプルとシリンジを用いた手作業によるサンプルのNO濃度測定結果を比較し、ガス自動サンプリング装置によるサンプルの精度における優位性を検証した。被験者は健康な男子大学生15人とし、安静後、非利き手の手首から抹消をガス採集バッグで被い、3分間の皮膚ガスを採集してNO濃度測定に用いた。測定は1週間以内の異なる日時に2回実施し、1回目の皮膚ガス中NO濃度測定値と2回目の測定値の間に有意な正の相関(r=0.866、p<0.001)が認められた。次に、15人の被験者中8人を対象として、利き手または非利き手のどちらかの手で手作業、もう一方の手で自動サンプリング装置による両手同時のサンプル採集を実施した。サンプル採集時間は、採集バッグ装着後2-5、7-10、12-15、17-20、22-25分の5回とし、その直後、方法を変えて再度同様にサンプルを採集し、計10回の皮膚ガスサンプルNO濃度を測定して経時的変化を比較した。その結果、シリンジ、自動サンプリング装置によるサンプルのNO濃度ともに時間経過に伴う有意な変動は認められず、サンプルの採集方法による有意な差も認められなかった。 以上のことから、ヒトの皮膚ガス中NO濃度の安静値は、日時を変えても再現性が高いことが確かめられた。また、皮膚ガス自動サンプリング装置は手作業によるサンプル採集に対して精度における優位性は認められなかったものの、作業効率を向上させるために優れていると考えられた。
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