2007 Fiscal Year Annual Research Report
新しい健康指標確立に向けた皮膚ガスー酸化窒素測定の試み
Project/Area Number |
18500539
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 宏 Nagoya Institute of Technology, 工学研究科, 准教授 (10203168)
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Keywords | 皮膚ガス / 一酸化窒素 / 血流量 |
Research Abstract |
今年度は,運動による血流量や血圧の変化と皮膚から放出される一酸化窒素(Nitric Oxide;NO)濃度との関係を明らかにしようとした。健康な男子大学生9人を対象とし,非利き手で手首底背屈運動を最大筋力の25%の負荷,1秒間に1回のリズムで疲労困憊に至るまで行わせ,安静および運動終了後2-5,12-15,22-25分に手首から末梢における皮膚ガスをそれぞれ3分間採集してNO濃度を測定した。また,安静,運動終了直後,10,20分後に,運動を実施した手の中指,第一関節における皮膚表面血流量を,同時に運動を実施しなかった利き腕から血圧を測定した。皮膚表面血流量は安静時に比べて運動直後に有意(p<0.0l)に増大し,その後は安静値に回復する傾向が認められた。また,各被験者における皮膚表面血流量の安静値に対して,運動後の最大値は有意に(p<0.01)高かった。さらに,運動肢の前腕最大周径囲も皮膚表面血流量の変化と同様な変化が認められたため,本研究では手首底背屈運動によって運動肢での血流が増大した可能性が示唆された。皮膚ガス中NO濃度も皮膚表面血流量と同様に安静値に対して運動後2-5分に有意(p<0.05)に増大した後,安静値に回復する傾向が認められ,運動後の最大値も安静値に対して有意に(p<0.01)高い値が認められた。このように,本研究では手首底背屈運動によって運動肢での血流が増大し,血流変化と同期するように皮膚ガスN0濃度も増大した。 以上,本研究で見られた手首底背屈運動後の皮膚ガス中N0濃度の増大は,運動による血流量の増大が血管内皮における剪断応力を増大させ,それに伴ってendothelial N0 synthase由来のNO産生が促進され,皮膚ガス中の濃度に反映されたと推察された。
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