2009 Fiscal Year Annual Research Report
地域在宅高齢者の転倒予防法の開発-変形性膝関節症と認知障害の影響を考える-
Project/Area Number |
18500545
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
平田 総一郎 Kobe University, 保健学研究科, 教授 (80238360)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 啓子 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (90154640)
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Keywords | 転倒 / 変形性膝関節症 / 認知障害 / 二重注意課題 |
Research Abstract |
転倒と変形性膝関節症および認知障害との関連を明らかにすることを目的として、デイサービスを利用する自立歩行可能な地域在住高齢者92名(男性18名、女性74名、平均年齢83.7±6.5歳、歩行補助具要65.2%)を対象に、転倒歴と変形性膝関節症のスコアー(Japanese Knee Osteoarthritis Measure, JKOM)および認知機能テストであるMini Mental State Examination(MMSE), Trail Making Test B(TMT)等との関係、さらに転倒とバランス機能や二重注意課題下のtimed up and go test(TUG)との関係を横断的に調査・検討した。過去1年の転倒経験有りの割合は37.0%、MMSE23点以下の認知障害の割合は41.7%、JKOMは平均±SDが47.2±15.5点(最悪点125点)、TUGは19.6±8.9秒、MMSEは中央値24点(四分位25%tile 19,75%tile 29点、カットオフ23/24点で認知障害有41.8%)、TMTは中央値250秒(四分位167,375秒)であった。1を続けて引き算をする二重注意課題下のTUGは有意に時間が延長し(延長率中央値20.4%、四分位25%tile 3.0%,75%tile 45.3%、p<0.001)、認知障害有り群のほうが有意に延長した(p=0.004)。JKOMについてTUG、膝筋力、バランス機能など多くの身体機能項目と弱から中等度の相関を示し、膝関節機能が身体機能へ広汎に関連していることが示唆された。また、JKOMと認知機能の相関分析では有意な相関を示した変数はMMSE(r=0.29,p=0.007)、引き算回答数(r=-0.38,p=0.0007)であった。単変量解析では、転倒有無の2群間で有意差があつた変数は痛み(転倒有/無67.5/44.8%、p=0.03)、半継ぎ足立位時間(転倒有/無5.8±4.4/7.8±4.2秒、p=0.02)であり、JKOM(p=0.14),MMSE(p=0.83),TMT(p=0.85)の群間差は統計学的に有意でなかった。転倒とJKOMの関係を多変量分析によって検討した結果、JKOMは有意に転倒と関連する(単位オッズ比1.04、p=0.02)ことが判明した。また認知機能に関して、二重注意課題下のTUG変化率とMMSE(r=-0.31,p=0.006)、引き算回答数(r=-0.40,p=0.0003)は弱い相関関係を認めたが、TMTとは有意な相関がみられなかった。以上より、転倒と変形性膝関節症の関連は明らかとなったが、認知障害に関連する変数との関連を示すには至らなかった。しかし、認知障害が歩行や移動能力と関連する知見が得られた。
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Research Products
(4 results)