2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18500546
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
佐伯 俊成 広島大学, 病院, 助教授 (70284180)
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Keywords | がん / 精神的健康 / 家族 / 家族機能 / 心理社会的因子 |
Research Abstract |
【はじめに】小児がん患者の両親は、さまざまな家族の危機に直面して大きな心理的負担を抱えており、心理的負担は外傷後ストレス症状(Post-traumatic Stress Symptom : PTSS)として治療が終了した後も長期間残っていることが報告されている。このため発病後早い時期に家族を包括的に支援する事が重要と考えられる。今回入院中の両親における心理社会的な負担(不安・抑うつ・PTSS)の存在率を明らかにし、その関連要因を検証することを目的として研究を行った。【対象と方法】広島市内にある2ヵ所の総合病院小児科病棟において入院治療を終え外来フォローに移行する前の小児がん患者の両親を対象として、半構造化面接と質問紙による調査を行った。調査項目は医学的要因、人口統計学的項目、PTSS(Impact of Event Scale-Revised : IES-R)など。両施設において倫理委員会により研究の承認を得た。【結果】計29組の家族に調査を依頼し、24組から有効回答を得た。解析対象は小児がん患者の母親24名、父親23名。患者の概要は調査時平均年齢9.1才、診断時平均年齢8.4才。男女比13名:11名。。入院の平均期間は7.2ヶ月(4〜12ヶ月)であった。母親と父親の平均年齢はそれぞれ38.3才と41.2才であった。PTSSを反映するIES-R総得点は母親23.6±11.0、父親19.5±11.7と母親が父親より高い傾向にあった。臨床的にPTSDの可能性が高いとされるIES-R総得点が25点以上の者は母親で45.8%、父親で30.4%と非常に高い割合であった。【考察】入院中の小児がんの両親においては非常に高いPTSSを認め、たとえ病状が寛解していても特に母親にとって大きな負担であることが明らかとなった。今後は入院中の家族における心理的負担の評価とその支援の必要性が示唆された。
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