2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18500546
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
佐伯 俊成 Hiroshima University, 病院, 准教授 (70284180)
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Keywords | がん / 精神的健康 / 家族 / 外傷後ストレス症状 / 家族機能 |
Research Abstract |
【背景と目的】多くの小児がん患者が長期生存する時代となり、患者にも家族にも身体的・心理的な影響が長期にわたって残存することが報告されている。しかし、心理的な影響に関して支援を必要としている患者・家族がどの程度存在するのかは明らかにされていない。本研究では、発症後5年以上経過した小児がん経験者の両親に対して、病気と治療体験が外傷後ストレス症状(PTSS)としてどの程度の割合で影響しているか、またPTSSに関連する要因を探索する。【方法】小児がんの治療を行っている3施設において、小児がん経験者の両親を対象として簡易面接と質問紙による調査を行った。参加者全員から文書同意を得た。【評価項目】医学的因子、人口統計学的因子、自記式尺度lmpact od Event Scale-Revised(IES-R)による外傷後ストレス症状の程度、不安・抑うつ、家族機能認知。【結果】調査対象は小児がん経験者の母親87名、父親72名。IES-R平均スコアは母親15.0±12.4点、父親16.0±14.3点であった。臨床的意義のあるcut off値25点を超えたケースは母親20.7%、父親22.2%で、Cut off値によって両親をそれぞれ2群に分類した。Cut off以上の群の関連要因として、母親では高い不安、高い抑うつ、発病後10年以上経過、児が6才以降に発症したこと、家族の低い役割分担機能・低い情緒的反応・低い情緒的関与・低い全般的機能が抽出された。父親では高い不安、高い抑うつが関連要因として抽出されるにとどまった。【考察】小児がん経験者の両親の約2割は、患児が長期寛解していても強い外傷後ストレス症状(PTSS)を抱えていることが明らかになった。母親にはとりわけ家族関係の調整や疾患背景の理解を促進するような支援が、父親には個人の心理的特性に応じて不安や抑うつを軽減するような支援が望ましいと考えられた。
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