2007 Fiscal Year Annual Research Report
運動刺激・体力と精神機能との関連性についての基礎的研究
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18500548
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
長野 真弓 Kyushu University, ユーザホサイエンス機構, 客員准教授 (10237547)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊谷 秋三 九州大学, 健康科学センター, 教授 (80145193)
大貫 宏一郎 九州大学, ユーザーサイエンス機構, 特任准教授 (50378668)
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Keywords | 精神健康度 / 全身持久力 / 高齢者 / 糖尿病 / 脂肪肝 / 肝機能 |
Research Abstract |
本研究は、有疾患者・高齢者における精神機能を調査し、運動・体力とそれらの指標間の関連性を明らかにするため、以下のテーマに沿って研究を遂行した。テーマ1:生理的指標との協応性がより高い質問紙の選定 ここでは、新規糖尿病患者において3種類の心理的質問票の回答結果と生理的指標との協応性を検討し、GHQ精神健康調査票を以後の調査で使用することとした。テーマ2:地域高齢者における実測した体力と質問紙で調査した精神健康度との関連性 本対象では実測した体力要素と精神健康度との間に関連性が認められず、実際の体力が高い者が良好な精神健康度を有するとは言いがたいと結論された。テーマ3:有疾患者における体力・病態と質問紙で調査した精神健康度との関連性の検討ここでは、病態へ移行する途中の新規糖尿病患者において、体力・病態・精神健康度の3つの要因間の関連性を検討した。1)代謝異常値の出現への全身持久力の影響低い全身持久力は肝機能指標であるASTおよびALTの高値の出現と強い関連性があることが明らかになった。この知見は、世界でもまだ一例も報告されておらず、今後そのメカニズムを解明する必要があると考えられた。2)精神健康度と全身持久力および脂肪肝・肝機能指標との関連性の検討脂肪肝を有する者では、精神健康度不良の者の体力と脂肪肝の指標が精神健康度良好の者より有意に悪化しており、精神健康度の悪化は内蔵脂肪や他の代謝異常の影響を考慮してもなお、低い全身持久力と関連していた。これらのことから、悪化した精神健康度が運動行動を阻害し、それが高い代謝異常の出現に関与している1つの経路がある可能性が示唆された。 以上の結果から、健常者というよりもむしろ有疾患者において、精神健康度が全身持久力や代謝指標に影響する可能性が示唆された。また、精神健康度の新たなバイオマーカーとして、肝機能指標が有用である可能性が高まった。
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Research Products
(3 results)