2007 Fiscal Year Annual Research Report
仮想環境における運動療法の健康心理学的な解析手法に関する研究
Project/Area Number |
18500553
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
田中 聡 Prefectural University of Hiroshima, 保健福祉学部, 准教授 (40405519)
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Keywords | 仮想環境 / バーチャルリアリティ / 運動療法 / 健康心理学 |
Research Abstract |
本研究では、バーチャルリアリティ(VR)技術を利用し仮想環境内で運動療法を行い、その効果を検討した。仮想環境内で行う運動とは、テニスや卓球、スノーボード、空手(瓦割り)時の各動作を利用したものであり、スクリーンに映し出される仮想のスポーツ場面に対して身体運動を行うものである。健常大学生と高齢者の2群を対象とし健康心理学的観点からに検討した。大学生群は、健康心理学的評価として、気分評価であるPOMS(Profile of mood states)、ストレスの定量評価として、唾液アミラーゼ活性値測定と心拍数変動(R-R間隔)を計測した。高齢者群は、実際のVRスポーツを16週間行い、身体機能については、筋力・立位バランス・足底圧分布、重心動揺、歩行能力を計測し、健康心理学的評価は、認知症スクリーニングテストとして改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)、抑うつ度・不安評価としてHADS(Hospital anxiety and depression scale)、気分評価としてPOMSを測定した。 大学生30名(平均年齢22歳)を対象にVR卓球を用いたラケットスイングを行う上肢運動と単純な肩関節の反復運動(両運動の関節運動方向と可動域は近似させた)を比較したところ、R-R間隔変動では、反復運動に比べVR卓球では自律神経活動の大きな変化を示さず、POMSでは、VR卓球を行った場合に正の気分が高く、負の気分が低い傾向を示し、VR環境下での運動はストレス発生が抑制できる可能性が示唆された。高齢者12名(平均年齢79歳)を対象にした16週間のVR運動療法の効果は、身体機能には大きな変動を認めなかったが、抑うつ度や不安感は平均点が改善しHDS-Rスコアは有意に改善した。VRを用いた運動療法はアミューズメント性を有し、かつ不安感や抑うつ、軽度の認知症の改善に働きかける可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)