2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18500567
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
仲西 正 Ochanomizu University, 大学院・人間文化創成科学研究科, 准教授 (90198143)
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Keywords | オムツ / 高分子ゲル / 膨潤挙動 |
Research Abstract |
本年度は,平成18-19年度に得られた知見に基づき,次の3つの検討を行った.(1)天然高分子であるκ-カラギーナンとポリビニルアルコール(PVA)からなる混合ゲルに対する塩溶液中での膨潤挙動,(2) PVAとポリ(4-ビニルピリジン) (P4VP)からなるセミ相互侵入高分子網目ゲル膜中の水の状態,(3)アミノ酸水溶液中のポリエチレンオキシド(PEO)ゲルとPVAゲルの膨潤挙動と弾性率の検討である.κ-カラギーナンとPVAの混合ゲルは,天然高分子の吸水性ゲルへの展開を考慮して行ったものであるが,塩化マグネシウムや塩化カルシウムなどのアルカリ土類塩化物塩の水溶液中で高濃度領域で濃度が高くなるにつれてゲルが膨潤する挙動が観察された.ゲル基質高分子とカチオンとの相互作用が考えられた.セミ相互高分子網目ゲルは,通常は混じり合わない2種類の高分子を共存させることにより,膜中水の高分子への束縛状態を調節することが可能となり,塩類などの膜中水への溶解性を高めることが可能になるのではないかという視点で実験を行った.示差走査熱量分析の結果から,PVAとP4VPを混合することにより,含水率が高くなるとともに,自由水が凍結結合水に,不凍水が凍結結合水に変化し,塩の溶解性を高める可能性があることが示された.アミノ酸水溶液中では,PEOゲルはセリン,アラニン,グリシンなどの低濃度溶液中で膨潤し,高濃度では収縮する傾向が観察された.PVAゲルではセリンのみ膨潤が観察された.水素結合や疎水性相互作用などによる高分子-高分子間相互作用や,高分子-溶質間相互作用,そしてそれらにともなうゲルの荷電状態の変化が関与しており,複数の相互作用のバランスにより膨潤挙動が決定されているものと考えられた.また弾性率の測定からは,高分子網目の大きさがアミノ酸の拡散に対して十分に大きなものであることが明らかになった.
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Research Products
(3 results)